ひらつか防災まちづくりの会について
ひらつか防災まちづくりの会は、大地震などの災害の被害を軽減できるよう防災を通して安心安全のまちづくりのために活動を行っています。地域防災の啓発活動に役立てることを目的に、平塚市内の市民グループや個人が連携して2003年8月に設立され、現在まで活動をしています。平成16年度には防災まちづくり大賞「総務大臣賞」を受賞しています。
私たちは、今回「ひらつか防災まちづくりの会」代表の山田美智子さんにお話を伺いました。
ひらつか防災まちづくりの活動
啓発活動として防災懇親会や講演会の開催、防災まち歩きや防災カフェの定期開催、防災訓練などへの協力が主な活動として行われています。自治会の防災研修やワークショップの支援など活動内容は多岐にわたります。
平塚市は、近年、豪雨が多数発生していて、水害が多い地域となっています。特に、相模川や金目川の近くでは、洪水が発生すると浸水が広がりやすい傾向があります。
実際、2024年の台風10号で平塚市が浸水被害にあって、そのときのボランティア活動なども地域の団体と協力して行っています。
これらの活動の中でも防災まち歩きは定期的に行われている活動の1つです。防災まち歩きは地域の方や地元学校の学生などと実際に街を歩き、街中に潜む危険を発見するための活動です。
地盤図というものを持ち歩き、その地域には昔何があったのか、現在地盤はどのようになっていてそこにどのような災害や危険性があるのかを確認します。
「地形がわからないとリスクがわからないし、ハザードマップだけでは足りないから博物館が作った地盤図をよく見て、ここに公園があって逃げられるとか、ここに消火器や消火栓があるなどはもちろん大事だけど、それだけのまち歩きだとわからない。だからそれを地形から考えよう、というのがうちの会の特徴です。」と山田さんは話します。

元気な子どもがいてこそのまちづくり
年数回行われている防災講演会では防災に限らず、様々な内容で講演が行われています。
2025年9月7日に行われた講演では、「非認知能力とは何か」「非認知能力と算数不安」という2つの内容で講演が行われました。
「算数が好きな子は、発想力も豊かになる」という考えから「非認知能力」に関するこの講演が行われました。
非認知能力とは、意志・意欲、自覚など数値化が難しい内面的なスキルのことで、これが「21世紀に求められる能力」として世界的に注目されています。この非認知能力が世界各国に比べ日本は低くなっています。また、日本の子どもは算数はできるのに算数不安を多く持つといいます。これらの力は生成AIが急速に進化・普及していく現代で、これから必要とされています。


「防災だけやっているだけではだめ。温暖化や水害、気候変動などの環境問題やAIなども全部合わせて新しい防災をやっていかないと、対応ができなくなってしまう。そういう認識に立って幅広い視野で防災をやっていこう。」
その中の一つに算数で子どもたちの教育を支援しようという活動も行われています。
また、この講演会を開いた渡辺日出男さんの小説「おばちゃん、なんで、算数やんなきゃなんないの」という本も講演と同時に紹介されています。

出典:ひらつか防災まちづくりの会(https://hiratsukabousai.jimdofree.com/)
取材を終えて
今回、ひらつか防災まちづくりの会の活動について取材をさせていただき、防災は単なる「備え」ではなく、「人と人をつなぐまちづくり」そのものであると強く感じました。これまで私は、防災というと地震や水害への対策、避難所の確認、ハザードマップの活用といった具体的な行動ばかりを思い浮かべていました。しかし、山田美智子さんのお話を伺う中で、地形や土地の歴史を知ることの大切さ、そして子どもたちの教育や非認知能力の育成まで視野に入れた「広い意味での防災」があることを知りました。
特に印象に残ったのは、「防災だけではだめ」という言葉です。温暖化や気候変動、AIの進展など、社会が大きく変化する中で、防災もまた進化しなければならないという考え方に共感しました。地域の安全を守る活動は、未来を担う子どもたちを育てることとも深く結びついているのだと実感しました。今回の取材を通して、防災を自分ごととして考え、これからのまちづくりに主体的に関わっていきたいという思いが強まりました。
まとめ
ひらつか防災まちづくりの会は、地域住民とともに歩みながら、地形や歴史を踏まえた実践的な防災活動を展開してきました。防災まち歩きや講演会、ワークショップなどを通して、市民一人ひとりの防災意識を高めるとともに、地域のつながりを強めています。
また、防災を環境問題や教育、AI時代の課題と結びつけ、幅広い視野で活動している点も大きな特徴です。災害への備えだけでなく、人を育て、地域の力を高めることこそが、未来につなげる防災まちづくりなのだといえるでしょう。
これからの社会では、行政任せではなく、市民が主体となって行動することがますます重要になります。ひらつか防災まちづくりの会の取り組みは、その一つのモデルであり、私たち一人ひとりができることを考えるきっかけを与えてくれました。未来の安心・安全なまちを築くために、防災を通したまちづくりの輪がさらに広がっていくことを期待したいです。
作成日:令和8(2026)年2月19日
作成者:東海大学建築都市学部土木工学科3年 野口誇生、本間大翔
