今回、私たちは身の回りを流れる川がどのように保全されてきたのかを学ぶべく、桂川・相模川流域協議会さんにお話を伺いました。

右奥;桂川・相模川流域協議会 中門様、右手前;桂川・相模川流域協議会 峯谷様
協議会発足の背景
桂川・相模川は山中湖を水源として、山梨県と神奈川県を流れて相模湾に注ぐ一級河川です。
1996年頃、神奈川県と山梨県がこの流域を保全するべく、環境省を仲立ちとして発足したのが、今の桂川・相模川流域協議会の前身となっています。
この協議会は市民・事業者・行政の三者から成り立ち、1998年に策定した「アジェンダ21桂川・相模川」に基づいて流域の保全活動に取り組んでいます。
出典:桂川・相模川流域協議会ホームページ > 協議会案内アジェンダ21桂川・相模川
katurasagami.net/01_annai/agenda21.html 最終アクセス日2025年3月4日
これまでの取り組み
桂川・相模川流域協議会さんは、川の自然環境について問題意識がある人たちがボランティアとして集まり、川を守りたいという強い思いのもと活動しています。
この強い思いは、流域シンポジウムにも反映され、過去のシンポジウムのテーマからは、その時代に流域ではどのような事が問題視されていたのかが読み取れます。
出典:桂川・相模川流域協議会ホームページ > 年度活動報告
http://www.katurasagami.net/06_katudouhoukoku/katudouhoukoku.html
最終アクセス日2025年3月4日
例えば、2000年頃に開催された第五回流域シンポジウムでは、合成洗剤による河川の汚染が取り上げられました。
これは、合成洗剤の普及によって川に泡が立つようになってしまったことがきっかけに問題となったテーマであり、河川を適切な状態に保全するために学識経験者等を交えて議論を深めました。
議論の記録:桂川・相模川流域協議会ホームページ > 桂川・相模川流域シンポジウム
> 2000年3月7日 石鹸と合成洗剤
最終アクセス日2025年3月5日
現在取り組んでいる活動について
現在取り組んでいる活動の一つに「カワラノギクの保全」があります。
本来、カワラノギクは水流の強い環境を好んで生育します。
しかし、ダムの建設や水需要の増加によって流域内の水流が弱まり、雑草が繁茂したことで絶滅危惧種に指定されるまで数が減少しました。
桂川・相模川流域協議会さんでは、草刈りなどの整備活動を通じて、カワラノギクが生育しやすい自然環境を造っています。

カワラノギクの写真

草刈り後の写真
出典:桂川・相模川流域協議会 > カワラノギク保全活動
https://www.katurasagami.net/11_kawaranogiku_1/kawaranogikuhozen.html
最終アクセス日2025年3月4日
活動を続けるうえでの活力は?
峯谷さん・・・
大変だから1人では絶対に続けられない。仲間がいるから続けられる。
人間の心の中には自然を守ろうとしている本能的なものがあると考えており、その自然を守りたいという衝動が仲間といることで、強くなる。
それが活動を続けることにつながっている。
中門さん・・・
会社で働いていて趣味としてさまざまなことをやっており、その直線上にある。
必要とされているのもあるが、楽しさがあり、好きだからやれている。
過去には、大分県と熊本県で発生した線状降水帯による自然災害を経験したことから、環境問題について考える集まりに誘われ、同じく自然環境に興味を持つ人たちとの交流が生まれた。
また、古文書が好きで、その中で流域治水などさまざまな自然環境の歴史について記述されており、そこでも環境問題とつながっている。
このように好きなことや興味を持ったことが繋がったことで、流域協議会の活動にも楽しんで取り組んでいる。
今回の桂川・相模川流域協議会さんへの取材を通じて、身の回りにある自然環境に目を向け、流域をより良い形にしようと取り組む熱意を感じることができました。
お忙しい所、取材にご協力してくださった桂川・相模川流域協議会の峯谷様・中門様にこの場を借りてお礼申し上げます。
文責:
東海大学 建築都市学部 土木工学科 三年
吉野 旬音、吉田 匠汰
令和7(2025)年3月8日 記