〜金目川水系流域ネットワークの活動背景について〜

〈 住民の思いから始まった活動 〉

 

かつて金目川は、産業廃棄物の投棄などにより汚染が進んだ川であり環境保全に手が回っていない状況にありました。しかしその一方で、金目川周辺に住んでいる住民間で「金目川をきれいにしたい」という意見が上がっていたそうです。

こうした地域住民の声を背景として平塚市の市民団体、行政、研究者など多様な団体が協力することで広域的な連携組織ができました。それが金目川水域ネットワークになります。

取材を通して私たちが強く感じたのは、この活動が単なる環境保全活動ではないということでした。この取り組みは、行政の枠を超えて、流域住民が主導となって「自分たちの川」を考える地域の在り方そのものを問い直す取り組みでした。

 

〜活動内容について〜

〈 データで向き合う金目川 

金目川水系流域ネットワークの活動は、非常に多岐にわたります。

主な活動は次のようなものがあります。

一つ目は、生態系調査と環境保全です

水質・生態系調査・真夏の水温調査として金目川では66橋を対象に、21年間継続して水温を測定しています。またCOD調査をパックテストにて11年間(平成17年~)継続して調査を行い、データに基づいた科学的な保全活動を行っています。

 

データからは、上流から下流へ水温が上昇する傾向や、一部区間での水温低下、30℃を超える地点の存在などが確認されていて、地下水や流量、市街地化など複数の要因が影響していることがわかりました。

 

この取り組みは、金目川に鮎をもどすために金目川の連続性と水温上昇を迎えることによって生物多様性を守ることをモットーに活動を行っているそうです。

 

二つ目は、流域の「顔」が見える交流です。

金目川で鮎のつかみ取りや流域を歩くといったイベントを定期的に行うことで、河川などの自然の美しさ・大切さを実際に体験する場を提供しています。

これは重要な活動の一つでデータだけでは伝わらない川の魅力が、実際に水に触れることで実感へと変わるとキッカケでもあります。

また、学習・啓発活動として夏休みに金目川の伊子茂の観察会を20年にわたって実施してきており、時には参加者が180名を越えることもあるそうです。この活動の人気は現在でも高いのですが、真夏の気温上昇が続いているため、活動が制約されて厳しい環境となっているのが現状です。

小学校などへ自然を学ぶ場を提供するため、小学校等に授業を積極的に実施しており、主に金目川について授業を行っていて、暴れ川の金目川での飛び交う野鳥、上流、中流、下流、の石の種類や形状の変化について、植物の光合成、立体地形模型つくりなどの各分野を独自に教えています。

地元の金目小学校の「金目川生き物クラブ」の活動を学校と共同してつくり、4年にわたり金目川の生き物の調査活動を支援したりと活動の幅を広げております。

このように、地域の小中学校と連携した環境学習や、活動の成果を発表することで、川に親しみをもつ子どもたちを増やすことが、未来の守り手を育てることにつながると考え活動が続いているそうです。

〜活動を通して伝えたいこと〜

近年、都市化の影響で自然が減少してきており、自然環境や自然の重要性を感じることや学ぶことができていない人たちが多くなっています。そのため、この活動を通してイベントなどに参加してもらい、普段から自然と向き合う環境をつくることで、自然環境や自然の重要性を小さいときから学んでほしいと考え、柳川会長は「繋いでいくことつまり若い人たちに環境の変化を感じてほしい」と話していました。

 

 〜取材を終えて 〜

 金目川水系流域ネットワークの柳川会長にお話を伺いました金目川水系流域ネットワークの活動を取材して見えてきたのは、川を中心とした「新しいコミュニティの形」でした。自治体の境界線に縛られず、水の流れに沿って人と人がつながるようにここまで活動されてきた過程に学びがありました。

その人と人との輪が広がるほど、金目川はより美しく、より身近な存在になると感じた取材でした。

お忙しい中取材を受けてくださった、柳川会長をはじめとする金目川水域ネットワークの関係者の皆様に感謝申し上げます。

作成者:東海大学建築都市学部土木工学科3年 角田悠、齊藤桜大

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