みなさんは、金目川水系流域ネットワークをご存じでしょうか?
金目川水系流域ネットワークとは、2001年6月、市民や団体の有志によって、流域レベルでの様々な交流や横断的な情報交換を進める場として発足されました。
近年、河川や、水環境への関心が高まる中、どのような活動を行っているのか。また、地域住民とどのようにかかわっているのか。代表世話人である柳川三郎さんに取材をさせていただきました。
活動内容について
簡単に活動の内容についてご紹介します。
① 河川の状況や、生態系についての調査
川の水温や酸素の濃度、汚濁によるCOD調査について記録を行い、どのように変化してきているのか。また、河川付近には、どのような生物が生息していて、河川の状況の変化が生態系にどう影響を与えているのかを調査します。
↑金目川に生息する生き物のようす
② 子供たちへの教育
多くの子供たちに、金目川の自然や歴史などを知ってもらうために、小学校・中学校に直接訪問し、出前授業を行っています。また、子供たちが自然と触れ合うことができる機会を設けるために、生き物の観察会や金目川生き物クラブなどの活動を行い、関心を持ってもらうきっかけを提供しています。

金目小学校の金目川生き物クラブの様子
③ 保全活動
保全活動については、土手や河原のごみ回収等の清掃を行っており、数が減りつつあるトンボの調査などを実施しています。(*調査より、ハグロトンボ、コオニヤンマ、ヘビトンボ、コヤマトンボ、コシボソトンボ等)
これらの活動は、「せせらぎ通信」での活動報告によって閲覧することができます。金目川水域に生息する生き物や環境について学ぶこともできるので興味がある方は、ぜひ読んでみてください!
活動の経緯
東海大学の教授である佐々木園子教授を中心として、平成12年4月に神奈川県内の水域の調査を目的として県からの支援を受け発足されました。
しかし、活動から三年ほど経ったところで、県が手を引いてしまったことにより、支援が受けられなくなってしまったことを境に、予算不足や人材不足に陥り、活動の継続が困難になってしまいました。
ですが、柳川さん達はそこで諦めず、資金確保に動きました。その結果、自立した市民活動団体として継続することができるようになり、令和5年には社会ボランティア賞を受賞することができました。

代表世話人の柳川三郎氏
活動を通して伝えたいこと
柳川さんは、「川のことを多くの人に発信したい。」という思いを込めて団体を立ち上げました。
自然を守ることは決して一人では成し得ることができるものではなく、他者との協力が必要であり、金目川水域ネットワークは、「みんなで協力することの大切さを教えてくれる場所」となっています。
また、柳川さんは「勝海舟が語っていたように、陰徳(人に知らせずひそかにする善行 )を積み、学んだことを人に伝えて引き継いでいくことが重要であると考えています。」
直近でも、コミュニティに大学生などの若者が加わっており、若い人が自然を大切にできるようなコミュニティを形成していきたいと話していました。
最後に
金目川水系流域ネットワークの柳川三郎さんにお話を伺いました。金目川水系流域ネットワークを形成する中でのたくさんの困難や葛藤を乗り越え、地域の生態系の維持やコミュニティの形成に寄与する。そのような姿から学ぶことが多くあった取材でした。
お忙しい中取材を受け入れてくださった、柳川三郎さんをはじめとする金目川水域の関係者の皆様本当にありがとうございました。
*COD調査: COD調査とは、水中の有機物による汚濁の度合いを測定する水質試験です。COD(Chemical Oxygen Demand)は、化学的酸素要求量を意味します。
作成日 2/28 東海大学建築都市学部梶田研究室3年 小嶋元基 荒井亮太
R7(2025)年3月13日 記