岡崎の気になるお店と人
神奈川県で唯一の馬肉加工工場のある 馬肉専門卸「多幸(tako)さくら」
平塚の北西部、岡崎地区に気になるお店と人を見つけ、さっそくお話しを伺いにいきました。
平塚から伊勢原にむかうバス道路に面したところに、「多幸さくら」という馬肉専門卸があります。
石川 幸子 代表取締役
大きい二重丸に馬の文字が目立ちます。石川 幸子 社長に伺いました。
多幸さくらは、神奈川県内で唯一の馬肉の加工工場です。卸しがメインですが直売もしています。
加工工場は岡崎地区の「丸島」というバス停留所の目の前です。
馬肉との出会い
石川さん
以前は、都内で飲食店の関係の仕事をしていました。そこは九州料理をメインにした居酒屋を全国展開している会社で、馬肉料理を普通に出していましたが、当時、馬肉は限られた地域でしか食べられていませんでした。しかし、昨今の健康ブームで、鉄分豊富で体に良いと女性に人気があり、注目をあびていました。ただ、馬肉を食べられるお店は少なく、また馬肉の加工生産をしているところは限られています。一方で、生産者は消費者のニーズをつかみ切れておらず、消費者も馬肉のことはよく知らないということで、私たちが中に入ってもっと広めたいと思ったのがきっかけです。
お店の名前の由来
取材するにあたり、「多幸さくら」と聞いて、「多幸」さん、という珍しいお名前の方がやられているのかと思ったのですが‥?
石川さん
馬肉のことを「さくら肉」と呼びますね。「さくら」は「桜」をイメージして、とてもやさしくみんなに愛されているので「さくら」としました。多幸は「多くの人に馬肉を食べていただいて幸せになってほしい」という気持ちと私の名前が「幸」なので入れて、「多幸さくら」にしました。「たこう」だと間延びしてしまうので「たこさくら」と読んでください。よく「珍しいお名前ですね」と聞かれますが、それも会話のきっかけになっていいかな、と思っています。
何故に平塚に?
石川さん
馬肉を食用にしようと考えた時、平塚には牛、豚の加工が盛んで「サイトーミート」さんをはじめ、ハム、ソーセージなどの加工の歴史のある会社があることがわかりました。歴史があるので行政、特に保健所などにノウハウがあり、とても丁寧に指導してくれました。
工場の直売場の「オークハウス」で一押しの焼き豚。
平塚市金田のサイトーミート工場には創業者の像が建てられています。
サイトーミートは創業80年の歴史があります。
石川さん
現在の工場の場所は以前はコンビニがあったところです。ちょうどよい広さの平屋(3分の2が工場で、残りが事務所)と、トラックが出入りできる広さの駐車場が確保できました。
そして何より、大家さんはじめ地元の方がとても親切で、店舗開設のためのリフォーム工事についても大家さんが便宜を図ってくださり、地元の業者さんが全部やってくれました。何か不具合があるとすぐ見に来てすぐ直してくれます。クチコミで宣伝もしてくれて、お客様を呼んでくれました。
私は名古屋出身のため、富士山はあまり観ることはありませんでした。ところがお店の真正面に富士山が見えるのです。それもすごく大きく!冬の晴れた日は素晴らしくて感動しました。
大家さんの小林さんは、行動力にあふれた方でした。
昨年の2017年の10月に、改装工事を始めて2018年1月6日にオープンした多幸さくらさんですが、地元の方たちに大変お世話になったとのこと。大家さんの小林さんにもお話を伺いました。
「多幸さくら」のお店の大家さん。小林 征夫さん。
鈴川こいのぼりまつりの産みの親
この大家さんの小林さんは、すごく行動的な方で、平成17年と18年に岡崎の大畑自治会の会長を務められたそうです。その時に「鈴川こいのぼり祭り」を企画し実行されました。
近くに流れる「鈴川」の両岸の約80mにロープを張り、こいのぼりが風に泳ぐ景色は見事です。
毎年、5月の3日と4日の両日におこなわれています。今や、平塚の名物になっていて、今年で13回目を迎えました。
小林さんのモットー
「他所ものを差別しない。」
大家さんということもあるのでしょうが、多幸さくらさんにも非常に面倒見がいいのですね。お米や野菜などを差し入れてくれるということでした。
岡崎を盛り上げたい
石川さん
月末の最終土曜日と日曜日は、特売を行っています。また、お店の前の駐車場ではテントを張って野菜の直売もやっていますが、テーブルと椅子を出すと、野外の居酒屋スペースが出来上がります。馬肉をつまみに地元の方々で賑わっています。
お店の前では、野菜の直売もあります。テントは地元の方が張ってくれました。
この駐車場を使って、イベントを開催して地元の方の交流の場になれば。
平塚の印象
石川さん
やんちゃで大変な人がいる、という感じでしたが、大家の小林さんはじめ地元の方々が家族のように接してくれる、とても親切な街です。
平塚を活性化するには?
石川さん
「湘南」をもっと前面に出すとよいのではないでしょうか?
茅ヶ崎は全国的に湘南のイメージが定着しています。お隣の大磯は「湘南」の地名の発祥の地ですが、あまり「湘南」にこだわっていない街のようです。「大磯」という歴史が確立された街ですよね。
「多幸さくら」もいろいろなところで販売の催事を行いますが、のぼりには「湘南平塚」多幸さくらとしています。やはり違いますよ。
通信販売も行っています。サイトを検索してみてください。
9月29日(土)、30日(日)には、特売があります。是非お越しください。
このようなマルシェが開催できるのも、地元大家の小林さんをはじめとした地域の方々が多幸さくらさんと一緒に「岡崎をみんなで盛り上げたい」という気持ちが一致しているからこそ、ですね。岡崎地区が今後どのように活性化していくかも、気になるところですね。
ライターの独り言
身近に馬肉が手に入るとは嬉しい限りでした。このバス通りはよく通るのに気が付きませんでした。
取材を機会に買って家で食べましたが美味しかったです。特売日に野外居酒屋で一杯やりたくなりました。
ライター:清水 浩三