今回は、「ひろばの会」の代表の山田 真美子さんを取材しました。
ひろばの会とは、
1979年に平塚駅西口に場外馬券売り場の建設に、教育環境悪化を心配した母親たちと他市民の集まりが始まり。運動の結果建設計画の白紙撤回を勝ち取り解散したが、同年12月に「学習の場」を希望した有志たちにより「平塚母親の会」が発足。1996年に「ひろばの会」と改名して現在に至る。創立40周年を迎えるが、毎月発行の会報「ひろば」は1980年2月から休刊することなく発行されている。
山田さんは、3代目として1996年から代表を務めています。
取材するに至ったきっかけは、4月14日に行われた「平塚100人カイギ」で山田さんのプレゼンを聴いたことです。マイケル・ジャクソンの顔がプリントされた服を着ていたのが印象的で、私もマイケルの圧倒的なダンスパフォーマンスや気に入った楽曲もあって好きなアーティストなので名刺交換してお話しをしました。適切かどうかはわかりませんが、山田さんが熱狂的なマイケルファンなのを知ってお話を聴いてみたいなあとその時は軽い気持ちでした。
そして「ひろばの会」の40周年記念イベントがあることも知り、4月30日の「Canta!Timor」の上映と監督のトークイベントに参加しました。これも感動的で即座に取材を申し込みました。
取材では山田さんとのいろいろな話しがとても面白く、気が付けば4時間半にも及んでしまいました。長くなるので幾つかのテーマ、「車」「マイケル」「Canta!Timor」に分けて書きたいと思います。
「ひろばの会」の会報に山田さんのエッセイが掲載されていますので、その内容を引用しながら書かせてもらいます。
先ずは、車編。
山田さんの趣味は「車」だそうです。そのきっかけは?
山田さん「私が20歳代の頃なんですが、交差点で信号待ちをしたんです。すると何やら騒がしい音が近づいてきて音のボリュームがマックスに達した思った瞬間、私の前で止まったんです。音を聞いた時は「バイク?」と思っていましたが、予想ははずれそれは「車」でした。その車がとてもユニークで、よく見るとリア部分に大きな鍵がついていてゆっくり回転しているんです。たった今夢の国のおもちゃ箱から飛び出してきたような存在感にしばし圧倒されました。」
山田さんの話をもとに、絵にしてみるとこんな感じです。
ブリキのミニカーをネジで巻くようなリアの鍵は、車好きな方が、特別に作ったのでしょうが、鍵も動いていてあたかもネジで動いているかのようだったそうで、これはビックリしますよね。その車がドイツのフォルクスワーゲンでした。
山田さん「会社の同僚からも、車の免許を取るようにすすめられましたが、車に全く興味がなく、車の必要もないし自分が車を運転するイメージなど全くなかったのですが、この車に遭遇して一変してすぐに免許を取りに行きました。そうしたら運転することが自分の性にあっているんだということに気づいたんです。
楽しくて、地図など見ないで道があれば進んで運転し続けていました。今どこにいるのか、帰るにはどうすればいいのかわからずに、見知らぬ人に尋ねながら帰宅しました。」
勿論、ワーゲンを購入。以来約40年間ワーゲン一筋です。
山田さん「他のひとから、『そんな古い車はよせ』なんて言われました。でも他の車にも試乗しましたが心が揺さぶられませんでした。」
車に、そしてワーゲンに出会ってから、山田さんの人生にも変化がありました。
山田さん「実は、この車に出会った頃「公務員」を目指していました。公務員の試験合格通知を受け取ったんですが、何か引っかかるものを感じ始めていたんです。気乗りしないんです。
交差点でリアに鍵のついたやたらうるさい車と遭遇した衝撃が私の心を揺さぶったんです。今の自分は自分の感度とは正反対の方向に進んでいるような気がしてならなかったんです。
そして「求めれば必ずその道は開ける」と思わずにはいられない出来事が重なり、その後、公務員職も婚約者とも別れをつげ、人生のギアチェンジをして新たなコースを走り始めたんです。」
山田さんの人生を変えるきっかけになり、その後結婚するときも、山田さん曰く「嫁入り道具は、ワーゲンだけだった」というくらいにさせる魅力とは何でしょうか?
山田さん「車は機械だけれどメカっぽくない、人間臭いところが好き。機嫌が悪いときやご機嫌な時があるんです。手間がかかって良く世話をしないとダメ。やんちゃな子どもみたいです。世話を焼かす子ども程可愛いというじゃないですか、そんなところが好きです。
今乗っているのが西ドイツ最終モデルのカルマンギア社製、カブリオレ。オープンカーで正直不便なこともあります。左ハンドルなので料金所や有料駐車場などの精算には下りないといけないし、雨など降ってくるとルーフは閉じますが隙間から雨漏りはするしね。打ち合わせ中に雨が降ってくると、「失礼します」と言って車で帰ることもあります。洗濯物より車が大事。でも手がかかるほど愛情が湧くんですよね。」
山田さん「本当に好きなものは、言葉で表せません。ワーゲンも魂にグサッときたものなので、何と表現してよいかわからない。本物を観たときはそうなのかもしれない。強いていうとフォルムが可愛いです。丸くて。
私は、フォルムでは「ポルシエ911」が一番美しいと思っています。いまだに911を超える車に出会っていません。」
山田さん「あの日(ワーゲンに遭遇した日)を境にこの40年あまり自分の感性を信じてきました。
そして来世があるのならまた私自身を生き、西ドイツ最終モデルのカルマンギア社製、カブリオレに乗っていたいですね。」
40年の間ワーゲン一筋という山田さんの一途なところと、魂に感じる感性の鋭さを感じる話しでした。
車同様に山田さんの魂を揺さぶった人がいます。マイケル・ジャクソンです。
山田さん「マイケル・ジャクソンのしなやかなダンスの動きの美しさは、車でいえば「ポルシェ911」ですね。
彼を超えるアーティストは観たことがありません」
マイケルも初めてみて、感動したそうです。マイケルについては次の投稿で紹介します。
ライター:清水浩三