ライターの独り言 我が家(ライター)の愛犬 ※写真は文面には関係ありません。
生後2ケ月で我が家の家族の一員になった愛犬ナック(仮名)、甘えん坊でご主人様の傍を離れない。
朝から、晩まで密着マーク。サッカーのディフェンダーの日本代表にしたいくらいの密着マークにはご主人さまもお手上げ。お風呂に入っている時も脱衣場で座って出てくるまで待ってるし、トイレに入っても入口で見張ってくれる。でもご主人様のお出かけの時はさみしそう。すねてめったに入らないケージの中でふて寝。
ご主人様が帰ってきたら、ちぎれんばかりに尻尾を振ってお出迎え。その日はご主人様の腕枕で安心してお休み。時々、いびきか寝言で「クーン、クーン」。
家の庭の張り替えたばかりの芝生に穴を掘り、部屋の壁にはひっかき傷、服やタオルはかじって穴だらけにするしいたずらばかり。でも愛らしくて憎めない。怒ってみても潤んだ瞳で見つめられると許すしかない。
ナックも今年で11歳になる。犬の1歳が人間の7歳らしいので人間にするともう後期高齢者である。
元気で居続けてくれればいいがそういかないだろうなと考えると、複雑だね。
人間社会も高齢化が進む中、犬猫のペットの世界も高齢化が進んでいます。
今回は老犬ホームオレンジライフ湘南を取材しました。年老いて介護が必要になるのも人と同じ、介護する側の苦労も同じ。人も愛犬も最後まで幸せな毎日を送らせてあげるべく活動する人たちに話を聴きました。
意外と近くにホームがありました。平塚では唯一とのことです。
先ずは、老犬ホームオレンジライフ湘南の代表の堀内 理恵さんから概要をいただきました。
老犬ホームを設立したきっかけ
堀内代表 以前は私も「愛犬を老犬ホームに入れることなんて信じられない。飼い主さまだったら最後まで自分できちんと世話をすべき」と思っていました。ただ、友人の老犬介護を手伝い、その中で犬を誰よりも愛している友人がどんどん壊れていくのを目のあたりにして、「そんなに単純なことではない」と実感しました。
それまでかけがえのない幸せな時間を共に過ごしてきたのに、最後の最期で悲劇に変わっていくことは絶対に間違っている。何とかしたいと。それが老犬ホーム設立のきっかけです。
平塚に開業した理由
堀内代表 平塚では多くの犬たちが処分された負の歴史があります。その原因は適切な飼養が最後までされなかったことですが、中には「こんなに老犬の世話が大変なら最初から飼わなかった」という方もいれば、「吠えが止まらずご近所から非難されてやむなく手放した」方もおられます。私にとって平塚での開業は犬たちとの約束です。二度と悲しい歴史を繰り返さない。そのために老犬についての知識の普及や、苦しい時のサポートを行っています。困ったら一人で抱え込まずに、無料相談も行っていますので是非連絡をいただきたいと思います。
堀内代表 平塚市に2019年6月にオープンした「神奈川県動物愛護センター」ですが、「処分する施設」から「生かすための施設」と位置付けられたことは大変喜ばしいことです。より人も犬も幸せに過ごせるように行政、市民の皆様とともに前進していきたいと思います。
平塚の老犬ホームを取材
実際のホームを訪問し、チーフの堀内 章さん(代表の弟)にお話しを伺いました。
老犬ホームを設立したきっかけ
堀内 章さん すでに姉から話はされているので重複するかもしれませんが、姉の友人が一人暮らしで、愛犬は大型犬。その犬が介護を必要になってきたときにいろいろな問題が噴き出て来ました。公共のサービスもないですし、獣医師に相談しても、医療技術は進歩しているのですが介護のノウハウの症例が極めて少なく解決にいたらず、友人の女性1人で悩んでいました。それを見かねて姉自身でも探すのですが、都内は交通の便は良いのですが、地下の狭いスペースで中型、大型犬は無理。そして高額。地方は緑豊かでよいのだけれど遠いなど。適当な施設は見つかりません。友人が疲れていく姿をみて「それなら我々家族で、老犬の介護施設をやってみようか」という姉の決意が始まりでした。2015年の暮れに設立して4年になります。
平塚の地を選んだ理由
堀内 章さん 都心から1時間圏内ということで、、移動による老犬へのストレスが軽減されることや、会いに来やすいこと。平塚はのびのびとした雰囲気のあるところで住みやすいこと。建物は元印刷工場で、しっかりして、外に音が響かない構造があります。1・2階が犬の居住場所で、3階が私たちの家族の居住スペースです。現在15名のスタッフで運営しています。深夜、早朝は家族で見守っています。
運営していて意識していること
堀内 章さん 老犬のケアももちろんですが、飼い主さまが介護などで疲れないように、相談、指導などのサポートをしています。愛犬も飼い主さまも、ともに幸せな毎日を送ってもらえるよう療法のサポートを意識しています。
今までで印象的な出来事
堀内 章さん 人間も同じだと思いますが、老後をいかに過ごすかで人生の満足度が違ってきます。地方のかたで、高齢の飼い主さまが亡くなり、可愛がられていた年老いた愛犬が“うつ”状態になり、生前から、「一度だけ横浜につれて行ってあげたい」と言っていたのを家族の方が叶えてあげようと何時間もかけて横浜ではないけど平塚の老犬ホームにつれてきて面倒みました。結局、ホームで最期を迎えましたが、飼い主さまの願いに私たちがそのお手伝いができたことは印象深かったですね。
堀内 章さん 飼い主さまが高齢となり、また病気で入院などがあり面倒をみれなくなってホームにくる犬が多いです。不思議なことに飼い主さまに何かあると犬も調子が悪くなることが多いです。伝わるものがあるのかもしれません。
これからのペットとの共生について
堀内代表 老犬介護は大変ですが、それ以前に犬を飼うということは、毎日のお散歩や健康管理などかなりの労力を伴います。それでもなお犬とともに暮らす人が多いのは、犬が与えてくれるかけがえのない喜びや幸せがあるからこそです。良いところも悪いところも沢山の人に知って貰い、犬を迎えるかどうかを決めていただきたく思います。20歳を超える子が当施設でもいます。20年後を見据えての決断が必要です。
人と違って、犬の飼養には公的なサポートはありません。だからこそトレーナー、獣医師など専門家と連携をとりながら愛犬の一生を絶え間なく支えられるセーフティネットを構築できればと思っています。
若い頃にきちんとトレーニングを受けていた犬は、気持の切り替えや、我慢することを経験しているので、身体が不自由になっても気持ちの切り替えもうまくいくことが多いです。動物病院での診察やトリミングを定期的に受けた犬は触られることに慣れているために、介護が必要になった時にもケアを受けるストレスが低く、時には快く感じてくれます。介護が必要となる前にできることはいろいろあるので、愛犬の幸せを支えるパートナーとして、様々な専門家を選んでおいていただきたいと思います。
シンプルですが、人も犬も幸せであってほしい。愛犬家もそれ以外の人も暮らしていきやすい地域社会であってほしい。それが私の夢です。
老犬介護セミナーの開催
今回の取材で、愛犬が年老いて介護などで悩んでいる方が大勢いるのではないかと思いました。
そこで、当法人では「老犬介護セミナー」の企画を進めています。具体的な内容が決まりましたら
告知いたします。
ライター:清水浩三