おいらは、平塚漁港のPRキャラクターのひらつかタマ三郎。今日はおいらの秘密基地を紹介するよ。
平塚漁港の歴史について
相模川河口に古くから開けた入江は昔“須賀湊”と呼ばれ、海と川をつなぐ物流の拠点でした。川の中の淡水港なので木造の船は傷みにくい港でした。平成12年に地域漁港の活性化と海洋レクレーションの共存を図る目的として漁船と遊漁船等を集約して収容する“平塚新港”が整備されました。平成28年から愛称を「ひらつかタマ三郎漁港」としました。
平塚市漁業協同組合パンフレットより
幕府公認の港町
江戸時代、幕府は相模湾に廻船が立ち寄る湊として7つの湊(七之浦)を公認しました。平塚の須賀の他に
江ノ島、小坪、秋谷、長井、上宮田、浦賀の湊が入っています。当時江戸へ送っていた相州小麦・大豆は当地のブランド品であり全国各地の醤油や味噌の原料になっていました。
平塚市漁業協同組合パンフレットより
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タマちゃん:「おいらの名前がついてるよ。かっこいいけど照れ臭いな。さて今日は友達の純ちゃんと“平塚新港”にある、おいらの秘密基地を紹介するよ。それにしても純ちゃん遅いなあ。」
純ちゃん: 「ごめん、遅れて」
タマちゃん:「もお~。待ちくたびれたよ。」
純ちゃん: 「今日はタマちゃんの秘密基地を見せてくれるのを楽しみにしてるんだ。頼むよ。」
タマちゃん:「オッケーまかしといて。ではこれから案内するよ。そのあと、船で海に出てみよう。戻ってきたら最近オープンしたお店で夕ご飯しよう。奢るよ。」
純ちゃん: 「やった~。よし」
タマちゃん:「出発進行」
タマちゃん:「平塚新港だよ。ここに漁から帰ってきた船が着いて獲れた魚を水揚げするんだ。岸壁には釣りをする人も沢山いるよ。」
純ちゃん: 「平塚の海で獲れる魚は主にどんな魚なの?」
タマちゃん:「下の表を観て。サバ、アジなど沢山あるし、シイラも獲れるよ」
タマちゃん:「基地の入り口に着いたよ」
純ちゃん: 「???!入口?どこにあるの。防波堤の壁しかないけど」
タマちゃん:「秘密基地に行くんだよ。簡単に入口が解ったら秘密にならないよ。では、目をつむってみて。梯子を出すからね」」
純ちゃん: 「わかったよ。こうかい?つむったよ。」
タマちゃん:「それじゃ3つ数えるよ。3・2・1、もういいよ。目を開けて」
純ちゃん: 「あれ~え。どこから出てきたの。この梯子?」
タマちゃん:「そんなことはいいから、気を付けて昇って」
純ちゃん: 「わお~、海だあ~。海の中に建物があるよ。」
タマちゃん:「それが平塚波力発電の実証実験場だよ。僕の秘密基地さ」
純ちゃん: 「すげえな~。」
急速に進む地球温暖化
気候変動により地球温暖化が進んでいます。国連の報告書ではこのまま進むと、21世紀の地球の平均気温は21世紀初めに比べて2.6~4.8度上昇するそうです。海水膨張、極地の氷山の融解による海面上昇、異常気象による洪水、干ばつ、病害虫の増加、伝染病発生など悪影響を与えます。その要因とされているのは二酸化炭素の排出量の増加です。その排出量を削減することが重要です。そのため排出の源となっている石油、ガス、石炭といった化石燃料由来のエネルギー使用を抑制し、代わりに風力、太陽光などの「再生可能エネルギー」の利用拡大へと転換していく必要があります。また化石燃料は限りある資源です。使い続ければ枯渇してしまいます。その意味でも転換の意義は重要です。
平塚海洋エネルギー研究会資料より抜粋
タマちゃん:「中を見せてあげるよ。」
純ちゃん: 「緑色の管みたいなのがいっぱいあるね。波力発電はどうやって電気を発電しているの?」
波力発電とは
波は、押し寄せては引いていくという動きをします。そのエネルギーを利用して発電します。平塚の実験場の仕組みは可動式(振り子式)とよばれているものです。海中の“ラダー”(波受板)が波によって前後に揺れ動く力で油圧シリンダを往復運動させてモーターにより電気エネルギーに変換します。
海水は枯渇しないばかりか、太陽光は夜には発電できないし、風力も風が無い時もあります。でも波は夜も昼も絶えず得られる安定したエネルギー源です。まだまだ課題がありますが世界で研究が進められています。
日本は海に囲まれ、海洋再生可能エネルギーのポテンシャルが高い国です。実用化して日本から世界の海に普及させていき地球温暖化対策に貢献しようとするものです。
平塚海洋エネルギー研究会資料より抜粋
タマちゃん:「純ちゃん、建物の海側にまわってみようよ。相模湾が一望できるよ。」
純ちゃん: 「本当だ。すごいね。向こうに見える島は何?」
タマちゃん:「あれは、伊豆の大島だよ。」
タマちゃん:「夕陽が西の方に沈んでいく時は、海面が金色に光り輝いて綺麗なんだ。ここから海をみ見ると癒されるんだ。」
純ちゃん: 「だから秘密基地なんだね。」
タマちゃん:「では、これから船に乗って海に出てみようか」
純ちゃん: 「いいね。」
タマちゃん:「海から見た平塚ビーチパークだよ。」
タマちゃん:「湘南平が見えるよ。」
純ちゃん: 「本当だ、頂上の電波塔が見えた。海側から見るのは初めてだよ。」
タマちゃん:「もう一つの秘密基地を見せてあげるよ。」
純ちゃん: 「わあ~。かっこいいね。これは何?」
タマちゃん:「これはね、平塚沖総合実験タワーというんだ。」
平塚沖総合実験タワー
平塚沖1km、推進20mの地点に設置された海洋観測のための研究施設です。国内でも数少ない沖合プラットフォームです。海洋観測データ(波浪、水温、水位、気圧など)を基に研究し海洋関連開発、沿岸防災、漁業、レジャーに役立てていきます。
東京大学海洋アライアンス資料より抜粋
タマちゃん:「これから茅ヶ崎の海に行くよ。」
純ちゃん: 「いきなり船のスピードが上がったね。」
タマちゃん:「今、時速30kmくらいだね。気持ちいいね。茅ヶ崎沖にきたよ。烏帽子岩が見えてきたよ。」
純ちゃん: 「本当に“烏帽子”に見えるね。」
タマちゃん:「だんだん、日が暮れてきたね。そろそろ戻ろうかな。」
タマちゃん:「海から見た波力発電所だよ。」
純ちゃん: 「発電所というとすごく大きな建物のイメージがあるんだけど。そして、防波堤の近くでなくて沖の方が波の力が大きくて発電には適してると思うんだけど。」
地産地消を目指す波力発電のコンセプト
平塚波力発電所は、波力による高効率、低コストの分散電源を開発して再生可能エネルギーの地産地消を目指すことをコンセプトにしています。
・台風のような波にも耐えられる頑丈な装置。でも小さな波でも効率良い発電。
・設置や維持管理が容易なコンパクトナ構造。だけど必要な発電量の確保。
・普及させるには安心・安全な装置で、低価格。
また、漁業に優しく配慮してあえて防波堤近くに設置するのは、漁船の往来や、定置網などの漁業の妨げになりません。また海中のラダーは波に漂うだけで、海中をかき回して魚の生息環境を乱すものではありません。
更に、発電所を小さくすることで地元の小さな工場でも建造し維持できることで地元工業の活性化につなげられます。平塚沖総合実験タワーからの観測情報は災害、漁業計画のもとに活用されています。
平塚海洋エネルギー研究会資料を参考
純ちゃん: 「夕陽が綺麗だね。」
タマちゃん:「綺麗だね。夕陽のオレンジ色が波に反射してキラキラして最高。絶景。」
タマちゃん: 「港に着いたよ。降りて」
純ちゃん: 「タマちゃん、ありがとう。お疲れ様。」
タマちゃん:「お腹すいたろう?約束通りご飯食べに行こう」
純ちゃん: 「行こう、行こう。楽しみ。どこに行くの?」
タマちゃん: 「最近オープンした、「平塚漁港の工房」というお店に行こう。おいらのおすすめは鯖ラーメンだよ。」
タマちゃん:「鯖の竜田揚げにしたのがうまいんだな。たまらんね。他にも美味しいメニューがあるよ。」
純ちゃん: 「タマちゃん。本当、美味しいね。」
平塚波力発電実証実験の経緯
東京大学生産技術研究所が2009年の平塚沖総合実験タワーを所管して以来、平塚市と連携して波力発電とエネルギー地産地消漁港モデルの検討を進め、東北復興プロジェクトに参加して久慈市に波力発電所1号機を設置しました。その成果を活かして平塚市に2号機を設置すべく産学公による平塚海洋エネルギ―研究会が発足しました。2020年2月に2号機が設置され運用に入りました。
現在の実験ユニットでは45kwですが、改良を重ねて100~200kwまでアップし、ユニットを水平連結して、地域の需要に対応していく予定です。
このプロジェクトには多くの企業・団体が協力しています。
平塚海洋エネルギー研究会資料より抜粋
タマちゃん:「純ちゃん、今日はどうだった?楽しんでもらえたかな?」
純ちゃん: 「タマちゃん、ありがとう。珍しいものを見せてもらえて感激だよ。海から平塚の陸地を観るのは初めてだったけど、湘南平や伊豆の大島、夕陽など絶景スポットが沢山見られて良かった。」
タマちゃん:「そうだね。平塚には海、川、山、里など自然豊かだからまだまだ魅力ある場所が沢山あると思うよ。探してみてね。時々海に遊びにおいでよ。まだ教えてないところを案内するからさ。」
純ちゃん: 「ありがとう。絶対来るよ。鯖ラーメン美味しかった。でもまだお腹すいてるな。次は何にしようかな?」
タマちゃん:「奢りだと思って無理しなくていいよ。」
おわり
ライター:清水浩三