6月8日(土)。澤田美喜、小倉遊亀、堀文子、新島八重といった「大磯ゆかりの女性たち」の足跡をたどる約3.5キロの道を、3時間半かけて歩く、まち歩きガイドツアーの日。午後から雷雨の予報が出ていたが、まち歩きの間は強い日差しが照り付ける青空が広がった。
この日、ボランティアガイドとして企画を支えたのは、大磯ガイド協会の約30名の人たちだ。仕事を引退した60~80代の人もいれば、現役の40~50代の人もいる。各紹介ポイントで大磯の魅力を熱心に語るガイドたちは、人物や名所旧跡の正確な知識だけではなく、コースの道順を的確に把握していなければならない。参加者が熱中症にならないように、事故に巻き込まれないように、無事に解散場所まで引率するという使命もある。責任ある活動を終えた、3人のボランティアガイドに話を聞くことができた。
同協会副会長の杉本純子さん(70代)は、主に経験の浅いガイドの教育や研修を担当する役目を担っている。杉本さんは、「お客様に満足してもらえる知識を習得し、行程中の気配りなど、すべてを一人でこなせるようになるには最低3年近くはかかる」と話す。
40代の川﨑裕さんの活動歴は今年で2年目に。大磯の山や海の中で遊びながら子供時代を過ごしてきたが、もっと自分の住む町のことを知りたいと思って、活動に参加したという。「仕事は東京まで通っていて、その片道1時間前後の東海道線の中で、眠気と格闘しながら、大磯の歴史上の人物や史跡のことについて書かれた資料を読んだ」、活動初年の日々を振り返る。まだまだ研鑽を積みたいとのこと。
50代の生方有紀子さんは、3~4年目のそろそろ中堅の域に。自宅は少し離れた御殿場だが、先祖のお墓が大磯町内の寺にあって、子供のころから両親に連れられて来ていたという。「墓参りでよく訪れる大磯の町について知らないことばかりだった。大磯の持ついろいろな面に触れたいと思ったのがきっかけで、活動に参加した」とのこと。
先ほどの杉本さんは、川﨑さんと生方さんの話を笑顔で聞いていた。団体の活動の担い手の高齢化の問題はよく耳にするが、大磯ガイド協会は、ここ最近、そうした問題をある工夫で解決した。杉本さんは、「現役で働く人のために、会員が集まるミーティングを土休日にする。経験豊富な年長者の知識や経験を教材化して、誰でも成長できる仕組みをつくること」が、若い担い手に関心を持ってもらうコツだと話してくれた。
ライター:高橋貴之
※この記事は当法人が開催した「WEBライター養成講座」(全3回/5月29日・6月12日・6月19日)の受講生が、受講中に取材して記事にしたものです。
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