今回は「あいあいリトミック」を主宰する、中西 こず江さんと相原 真由美さんを取材しました。

7月にひらつか市民活動センターで、インタビューしながらリトミックについてお話しを聞きましたが、全くイメージが湧かず、9月2日に大野公民館で実際のサークルを見学しました。

当日は11組の親子が集まりました。まだ歩き始めて間もない子もよちよち歩きながら会場を歩き回りました。

お母さん、お父さんも笑顔なのがいいですね。顔なじみの家族の方もおられるそうです。

リトミックコンサートの風景

クレヨンの唄

大野公民館でのプログラムの一つ

 ♬どんな色が好き?(子どもたちが選ぶ)〇〇色が好き。一番最初になくなるよ。〇〇色のクレヨン♬

相原さんがピアノを弾きながら歌うと、子どもたちが、自分で決めた色を、中西さんが持っているペープサートのクレヨンの中から選んで、白いボードにはりつけていく。ボードには何も描いてない。何色をどこに貼るかは子どもたちが決める。何色をどこに貼りなさいということは言いません。

これが、子どもが自分の感じたままに行動する具体的な例の一つです。考える時、貼り付ける時、いつも音楽が流れています。

とっても子どもたちがのびのびと楽しそうでした。

 

頭で考えることから、身体で感じて動く世界

「三つ子の魂~」ということわざがあるように、幼児のうちに感性を育むことの重要性が注目をあびています。以前は、ピアノのレッスンは、譜面通りにきちんと弾くことが指導の重点でした。もちろんそれも大事ですが、最近はそこに演奏者の感性が盛り込まれることが大切になってきました。頭で考えて動くだけではなく、感覚で動くことが求められています。これをまだ知恵のついていない幼児期の早い段階で育むのがとても重要。またその時期に日本文化、情緒を感じることも大切で、教室では季節にあった曲や童謡・唱歌も取り入れているそうです。

 

リトミックとは

私たちはいろいろな音に囲まれて生活していますし、行動しています。例えばパチンコ屋では、けたたましく賑やかな音楽が鳴り響きます。図書館では静かな音楽がながれます。それで私たちは気持ちが昂ったり、落ち着いたりします。無意識のうちに音によって行動させられています。この人間の音による行動を研究し音楽を通じて自分の五感+筋肉の感覚を使い、聴いて見て体験して感じて表現して、心と身体の調和を目的とした教育です。

幼児のうちから、楽しい音、悲しい音、音が止まった時、音の高低や強弱などを聞き分け、感性を磨き身体で音楽を体験する、それがリトミック教育です。幼児期からリトミックを体験する事で、発達を促す効果や、コミュニケーション能力の向上、音楽能力の向上が期待できます。リトミックは無限の可能性を秘めています。

リトミックは、スイスの音楽教育家でもあり作曲家のダルクローズが創始した音楽教育法です。

フランス語で快いリズム、律動的な運動といわれています。

今回取材させていただいた「あいあいリトミック」を主宰する2人。写真左が中西さん 右が相原さん

 

 

2人のプロフィール

中西 こず江さん

音楽短期大学にてピアノ科卒業・専攻科修了。リトミック課程修了。

ダルクローズ・ジャパン・リトミックスクールで学ぶ

私立幼稚園にて7年間音楽指導、リトミック指導に従事

現在は、子育てサークル「あいあいリトミック」主宰

平塚にて梢 音楽教室主宰。

相原 真由美さん

音楽大学にてピアノ指導者コース卒業。ヤマハピアノ演奏グレード取得。

現在は、子育てサークル「あいあいリトミック」講師。

平塚にて、mumu ピアノ・エレクトーン教室主宰

 

あいあいリトミックの発足のきっかけ

相原さん「大学時代からピアノ教室を開いていて、それと並行してリトミックの教室も実施していました。しかし、2年前にリトミックの講師が足りなくなり、大学時代の友人の中西さんに声をかけたのを機に、本格的なリトミックをやってみないかと相談したのが最初でした。」

中西さん「ちょうど下の子どもが幼稚園の年中さんになって、昼間時間が空いたところに、相原さんからタイミング良く声をかけられました。市役所の方に、子育てサークル『あいあいリトミック』を皆さんに知ってもらうには、どうしたらいいのか等相談に行ったら、ひらつか市民活動センターの事、補助金の制度がある事も教えてもらい非常に助かりました。」

相原さん「さらにどうせやるなら、『もっと沢山の方に気軽に参加してほしい』という想いがあり、参加費も低額にして、会員制ではなく参加した日分の参加費のみの支払いにして参加しやすいようにしたいと考えました。」

 

あいあいリトミックの活動

現在、子育てサークルは月に4回。会場は大野公民館2回、旭北公民館1回、福祉会館1回。

メンバーはサークルでは、3名。 コンサートは6名で運営しています。

 

サークルで使用する小道具全てが手作りの凄さ

リトミックのサークルで使用する手作りの小道具の一部

 

リトミックで使用する小道具は、相原さんの手作りです。アイデア一杯のものばかりです。

自分の子どもを見ていて、「こんなのがあればいいな」と閃いたものなどを作っているそうです。上の写真はごく一部で、普段は小型トラック一台分を毎回運んでいるそうです。

今回のサークルで制作した手作り絵本は、お土産に参加者にあげていました。家で子どもと遊んだら喜びますね。

 

“えいご”でリトミック も開催

9月23日に、大野公民館にて英語でリトミックが開催されました。その模様を掲載します。

英語でリトミックの風景。カラースカーフでお花を作って飛ばしました。

 

英語でリトミックの風景。 クライマックスの虹色のバルーン作り。

 

英語でリトミックには、中西さん、相原さんに、英語講師の高橋 美和さん(中央)が講師で参加。

 

生のピアノ演奏にこだわり

中西さん「音楽を流すだけならCDでも良いのです。ピアノの即興演奏の良さは、その日の天気や雰囲気、参加者の子ども達の年齢や性別、発達段階や障害の有無で、同じ曲でも自由自在にリズムやテンポ、強弱を変えられる事です。参加者がその音の変化を感じる事が大事です。だから生のピアノ演奏を大切にしています。」

 

コミュニケーションの場

中西さん「リトミックに一年間通ってくれている親子で、最初はお母さんの眼付きがきつく、どこか思いつめたような表情で他の子と出来不出来を比べてしまっていたのが、回数を重ねるごとに親子の表情が柔らかくなってくるんです。音に対しても反応が良くなるし、周りが見えてきて自分の順番を待てる様になったり、コミュニケーションをとれるようになるんです。参加するたびに親子の表情が豊かになっていくのは、『私たちの活動は間違ってないんだ』と思わせてくれます。」

相原さん「家に帰ってもサークルでやった遊びを親子でやっている事を聞くと嬉しいですね。サークルに参加する事で子どもの成長をあらためて感じる事ができ、家での子どもとの接し方が変わった、と参加されたお母様から伺いました。」

中西さん「幼児虐待などの悲しいニュースが聞かれますが、家の中に音楽があれば悲しい事件も少なくなるんじゃないかと思います。リトミックのサークルに参加して、他の親御さんと交流することで、悩み事などを共有したり、話す事でストレスの発散になったり、育児に対する考え方、視野を広げていくきっかけになる場所作りができればいいなと思っています。」

相原さん「障がいの有無に関わらず、個性を尊重するインクルーシブ教育体制で、誰でも受け入れます。子ども一人一人に良い所、かわいい所、得意な事は必ずあります。親はそういう所を見て褒めてあげて育児を楽しんで欲しいと思います。家に引きこもっていないで育児を一緒に楽しみましょう!」

 

今後の活動への想い

相原さん「現在は、幼児中心ですが、もっといろいろな世代と一緒にリトミックをやりたいなと思います。その足固めをしているところですね。」

 

ありがとうございました。益々の活躍を期待しています。

 

ライターの独り言

音楽を通じて、頭で考えるのではなく、自分の身体で体験して感じて表現する柔軟な感性を幼児期から育む活動には共感します。以前、何かの講演会で講師の方が、「現在学生に求められているのは、ジグソーパズルを完成させる能力ではなく、レゴで何かを創り出す能力である。」といったことを思い出しました。

 

ライター:清水浩三

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