東横INNグループでは、「青少年に夢と感動を与えたい」「地域の活性化と発展に貢献する」を基軸に、幅広い社会貢献活動の取り組みの一つとして、地域文化の交流の場としてホテルにギャラリーを併設し、多様な作品を展示して文化活動を支援しています。その運営をしているのがグループの「元麻布ギャラリー」です。
地域の人たちの心と生活が芸術で彩り豊かになればという想いで運営されています。
現在全国の幾つかの東横インホテルにギャラリーがあり、平塚には駅北口を出て四つ角にある、ホテル「東横イン」の国道に面した南側1Fに2009年にオープンしました。
駅にも近く、商店街に隣接していて大きな窓から中の様子が見えます。買い物帰りや、散歩途中に「何かやっている。何だろう?」と立ち寄るには絶好の場所です。
今回は、平塚駅前の元麻布ギャラリーを取材しました。
お話を伺ったのは、“元麻布ギャラリー”のコーディネーターの河村 名保さんです。
京都生まれ、平塚育ち。東京音楽大学声楽科卒業。平塚市在住。ギャラリーに勤務して5年目。
「ギャラリーは《美と夢の宝石箱》、私は魔法使い。ギャラリーにくると寿命が延びるの、サンリオピューランドのよう」など美少女漫画の世界のようなワードが飛び出す取材となりました。でも、お話をしていてとても楽しく、周りを明るくしてくれるキャラクターで、勝手に初対面にもかかわらず「不思議ちゃん」と感じました。ご本人も「よく言われます。」ということなのでこの記事では“不思議ちゃん”で表現させていただきます。
音楽大学の先生がユニーク
不思議ちゃん:「先生のレッスンにジーンズで行ったらレッスンしてもらえない人がいたり、ケチャップをプレゼントしたら絶縁状態になった人がいたりと、こだわりのある先生ばかりでした。
先生は皆、「これは良いモノ」「これは美味しい」とか一流のものに対しては造詣が深く、今ギャラリーで仕事をしていますが、その時の影響が少なからず私の美術的価値観に繋がっているように思います。」
働くということの価値観
不思議ちゃん:「元麻布ギャラリーのきっかけは展覧会を観に来て「感じの良いところだな」と思って本社の面接を受けたら採用されました。「やってみよう♪」と始めて5年目になりました。働いているという感覚よりも、美術活動をしている感覚です。何を考えて、そこにどんな理念があるかが問題で、無償でも得られるものが大きいこともあるし、その逆もある。お金や損得を基準にして物事を判断はしていません。
ギャラリーの仕事は、自分の価値観と合致しているので5年目ですけど働き続けているのだと思います。
また、ギャラリーは社会貢献が目的なので、公募展などは無償で使用して頂いています。
私的な展示会はレンタルですが、使用して下さった方に喜んでいただけたらと、タウンニュースさんや、湘南ジャーナルさん、SCNさんに、私から投稿して主催者の魅力を宣伝しています。
掲載されると、“記念になる”と喜んでもらえる事が多くて、少しでも役に立てたかなと感じると嬉しいです。」
展示のコンセプトは?
不思議ちゃん:「文化芸術支援の形を発想豊かに具現化することをコンセプトに、作家さんもお客様も「満足できる展覧会だった」と喜んでいただくことを第一に、魅力あふれる展覧会の実現をめざしています。
新たな芸術との出会い、親睦を深める方々の輪を様々な形で生み出し広げていくことで地域を発展させていく文化創造・交流拠点としての役割を果たす事が目的です。
美術人口増加に寄与させて頂きたいという想いで作家さんの育成・発表・交流の場をコーディネートしています。本社からは、「自由に発想してください」と任されています。」
今までの展示での印象的な思い出は?
不思議ちゃん:「新型コロナウイルス感染治療に対応している平塚市民病院医療従事者への支援としてチャリティー展を1回目の緊急事態宣言解除後の6・7月に開催できたことです。いきさつは本社から「コロナにおける寄付ができる展覧会を考えるように」との話があり作家さんと話し合いを重ねました。ギャラリーの売り上げは全額寄付することにしていましたが、作家さんで全額寄付してくださる方も現れました。その作家さんは「購入してくれたお客様の家に作品が飾られるということが実現し、購入したひとが社会貢献でき、ギャラリーはその橋渡しができたという“三方よし”で素晴らしい成果」と言ってくれました。快く支えてくれるお客様に囲まれているという有難さを実感しました。ギャラリーを通して地域住民の方々も、共に社会貢献活動に参加していただけるような発想を大切に、今後も芸術活動で橋渡しをしていきたいと改めて思いました。
また、別の機会ですが、個展を開いた作家さんが誕生日でした。ギャラリーでパーティーをして“ハッピーバースデイ”を皆で歌ったりして喜ばれた時は、私も感動して嬉しかったですね。」
平塚という街はどういう街ですか?
不思議ちゃん:「茅ヶ崎と大磯町の文化的な街に挟まれ、さらに横須賀、葉山、鎌倉から、箱根、湯河原の中間地点にある「真ん中都市」。それが「湘南・平塚の街であると思います。
「真ん中都市計画」を考えたら面白いのではないかと思うのですけど。
海も山も川もあり、温暖でのどか、ゆったりしています。既に立派な美術館や博物館もありますが、2022年には平塚市の文化芸術の拠点「ひらしん平塚芸術文化ホール」も見附町にオープンします。文化都市として益々魅力あふれる街になっていくと思います。それに、みんな優しくて、「天国のお花畑のような街」であるといつも思っています。」
平塚がもっとこうなれば良いと思うこと
不思議ちゃん:「七夕祭りの街ですので、七夕通りや商店街が賑やかになっていくことを願っています。
七夕の時に、願いを短冊に描いて“叶いますように”と飾りますが、「願いが叶う七夕の街」というイメージを浸透させていったら素敵だと思います。「平塚に住むと良いことが起こるよ」と口々に噂になるように市民のみなさんが広めていけばと思います。でもそれには、市民の一人一人が「願いが叶う」「良いことがある」と信じて意識を持たないと平塚の魅力は他所の場で発信できません。意識することから始めましょう。
ギャラリーとしても、地域貢献活動されている団体や企業とともに地域を活性化していく取り組に協力していきたいと考えています。」
なるほど、地図でみても平塚は、ほぼ神奈川県を覆う円の中心にありますね。
その中心の平塚が”願いが叶う街“になればきっと神奈川県全体に夢や希望を広げられるかもしれません。
不思議ちゃんの今後の夢
不思議ちゃん:「理想のギャラリーコンセプトは、“美と夢の宝石箱”です。宝石とは美と夢、希望や発展、思いやりの心や愛です。私自身はメリーゴーランドのように、お客様の夢を乗せる乗り物(ユニコーンがいいです♪)になることです。クルクル廻ると夢が実現する乗り物になりたいです。出品者も来場者も楽しめて、モチベーションが向上し、夢も実現するという新しい発想の支援をさせていただけたら嬉しいです。
“ギャラリーにくると若返り、寿命が延びる” “名保”は不思議な魔法使いです♪」
ライターの独り言
「不思議ちゃんだなと思うことはありますか?」
「私、ギャラリーに勤務してから一度も風邪をひいたことないです。」
「父親は亡くなりましたが、今は天国に出張していると思っています。」
「小学校の先生から、「あなたは壊れた電球ね」と言われました。「明るくつきっ放し」なんですって。」
お話ししていて天真爛漫。天然ぶり(失礼)満載でしたが、ギャラリーのお仕事が天職のように生き生きして話す姿に、しっかりした考えをもってコーディネートしている姿勢が伝わってきました。
平塚には才能豊かな作家さんが沢山います。その方たちと地域の方とをメリーゴーランドに乗せて、夢と希望を振りまいてください。
ありがとうございました。
文責:清水浩三