今回は「WE21ジャパンひらつか」の代表を務められています重田祐子さんに取材をさせていただきました。私は国際関係のNPO活動をしていた時期があり、海外支援を行っているWE21ジャパンひらつかの活動にとても興味を持ったため、今回記事を書かせていただくことになりました。
重田さんのお話には、「WE21ジャパンひらつか」を運営するに当たって心がけていること、活動している中で印象深かったことなど、活動に対する様々な思いを述べていただきました。
WE21ジャパンひらつかさんとは?
まず「WE21ジャパンひらつか」とは市民から寄付された衣類や雑貨などを販売しているリサイクルショップ、WEショップを運営しており、販売で得た利益でアジア女性を中心に支援を行っているNPO団体さんです。全国で約40店舗あり、神奈川県内では各市にWEショップを展開、東京にも2店舗運営されています。
お金での支援について
「WE21ジャパンひらつか」さんはお金での支援をしており、一部地域を除いて物品での支援は行っておりません。その理由としてある出来事を教えていただきました。
パキスタンの大地震の際、何か援助をしたいという一心で毛布を支援されましたが、パキスタンではウール産業が盛んであり、既にウールで作られた毛布があったのです。その状況を知らず毛布を支援してしまい、羊を飼っている子供、ウールを作る現地の職人さんの仕事を奪ってしまったのです。重田さんは「いらなくなった物をあげたとしても、相手が必要としていなければ自己満足になってしまう。相手の生活を考えた上で支援をしなければならない。」とおっしゃられていました。
活動内容と結果
西ベンガルの保育所でも支援を行っていた「WE21ジャパンひらつか」さん。そこでは1ルピーで1羽のひよこが買えるようにし、「WE21ジャパンひらつか」さんの支援金で現地の女性達が購入できる仕組みを作りました。そこで購入したひよこが成長し、卵を産み、その卵を「WE21ジャパンひらつか」さんが購入し、保育所に子供達の給食として卵を寄付するような支援を行っておりました。この活動により、現地の女性が自立してお金を稼ぐことができるだけで無く、子供達に栄養価の高い卵を食べさせることができるようにしたのです。
活動から数年後、重田さんが保育所を訪れた際にある1人の男の子の髪色が明るい茶色から黒色に変化していたのです。つまり、今までまともな食事をとることができず、タンパク質不足の状態で髪の色が変わってしまっていたのが、卵を食べられるようになり、栄養が行き渡ったことで元の髪色に戻っていたのです。重田さんは「支援の結果が髪の色という視覚的に分かりやすく反映されたのがとてもうれしかったです。お客さんにも言いふらしましたが、お客さん達も自分たちの支援の結果を聞くことができてとても喜んでいました。」と語っておられました。
活動の中でうれしかったこと
WEショップのお客さんはお釣りを募金箱に入れることを当たり前だと考えている人が多く、WEショップさんの方で募金活動を行った時には多くの方が支援してくださるそうです。
ある男性は「あんたたちは信用できる。これからは募金活動を不正に利用する悪い人が増える。しかしここは信用できる。」とおっしゃったそうです。「WE21ジャパンひらつか」さんは、世界で災害や戦争があった時には必ず募金活動を行なっているため、それを見ていたお客さんや通行人はWEショップさんに信頼を抱いていたのです。
重田さんは「声高に活動を示さなくても、活動を続けていることで誰かが見てくれている。ここなら募金活動をできると思ってくれていることがとても嬉しい。」とおっしゃられていました。
重田さんのお話を聞いて
今回重田さんに取材をさせていただき、特に印象的だったのは「自己満足な支援を行うのでは無く、相手の生活に寄り添った支援を行う」という点です。お金の支援についてでも、西ベンガルの保育所の話でも、支援はあくまでも自立のステップに過ぎず、最終的には支援を必要としないことが一番の目標なのではないかと感じました。
私は今まで様々な募金活動やNPO活動に参加していましたが、なにかしてあげたいという気持ちだけが先走ってしまうことが多々ありました。そのため、支援してもあまり良い結果を残すことができなかった場合もありました。そのときの私は「支援すること」に焦点を当てすぎてしまい、相手が本当に必要としているものを見落とししてしまっていたと感じます。相手のライフスタイル、相手が必要としているもの、これらをしっかりと調査した上で、会話を通して深く理解することでよりよい効果的な支援を行うことができるのでは無いかと考えさせられました。
今後の活動を通して、今回重田さんから学んだ点を生かしていきたいです。
作成日 令和6年11月 東海大学政治経済学部2年 新井