ボランティアの拠点である茅ヶ崎ヘッドランドビーチは、湘南エリアで穴場とされているサーフィンスポットとして人気です。また、湘南の海を感じながら海岸散歩を楽しむ人や、人工岬「ヘッドランド」で釣りをする人など、落ち着いた雰囲気のあるビーチとして地元の人々に親しまれています。
私たちは、茅ヶ崎ヘッドランドビーチでビーチクリーンをしている湘南ウキブイ代表理事 熊沢博樹さんに取材をしました。
「湘南ウキブイ」さんの活動とは
湘南の海をもっと美しく、もっと安全に。そのような想いから始まった「湘南ウキブイ」。代表理事の熊沢博樹さんを中心に、茅ヶ崎ヘッドランドビーチで毎月第2日曜日にビーチクリーンを行っている団体です。湘南ウキブイの活動は単なる清掃活動にとどまらず、地域の人々とのつながりや、環境意識の向上を目的としたさまざまな取り組みを行っています。
活動のきっかけ
湘南ウキブイの活動が始まったのは約20年前。当時、ヘッドランド海岸でBBQをした際、海岸に落ちていたガラス片で子どもが怪我をしたことが、湘南「安全で美しい海を未来へ」という想いのもと、最初は数人で始めたビーチクリーンが次第に広がり、今では多くの人が参加する活動へと成長しました。
かつては冷蔵庫や原付バイクなどの大型ゴミが不法投棄されることもありましたが、20年にわたる継続的な活動によってそうした状況は改善され、現在ではより細かなプラスチックごみの回収や、環境問題への啓発活動に力を入れています。
ビーチクリーン活動中……

砂で埋もれているマイクロプラスチック
ただの「清掃活動」ではない、湘南ウキブイの魅力
湘南ウキブイの活動のコンセプトは、「拾いながら、伝えながら、変えていく未来」であり、指針でもあります。
例えば、ビーチクリーンの際には毎回テーマを設け、参加者が楽しみながら取り組める工夫を施しています。「今日は〇〇のポーズで写真を撮ろう!」などのユニークな試みは、大人も子どもも一緒になって楽しめる取り組みがあります。取材させて頂いた時は2月の節分に因んで「鬼のポーズ」でした。
また、参加者を無理に募るのではなく、「集まる場」を作ることを重視しており、誰もが気軽に足を運び、活動に加われるような雰囲気づくりを大切にしています。
元気にみんなで開始の合図!✊
地域コミュニティとのつながり
湘南ウキブイには、地元の家族連れはもちろん、一人で参加する人も多くいます。中には、悩みを抱えた人がふらっと訪れ、活動を通して人とつながるきっかけを得ることもあります。
例えば、ある子どもが初めて参加した際、スタッフに名前を呼ばれたことで笑顔を見せたというエピソードがあります。「この子は普段あまり笑わないのに、ここでは嬉しそうにしている」と親が語ったことからも、湘南ウキブイが地域団体にとどまらず、人と人とが支え合う場所になっていることがわかります。
参加者の声
①どのようにしてウキブイ大作戦を知りましたか?
・近所に住んでいて活動しているのをよく見ていて参加しようと思った
・友達の紹介で知った。
② 何回参加していますか?
・10年前から毎月参加している。
・2,3か月に1回くらい。
③ 参加者から見て湘南ウキブイはどのような団体か?
・若い人が月1回ゴミ拾いをしてゴミがどのような影響を及ぼすか学ぶ場所。
・ごみを減らすための啓蒙活動をしている団体。
④ 活動を通じて普段の生活や意識に変化はありましたか?
・散歩中にタバコなど目についたゴミを拾うようになった。
・周囲のゴミに気づきやすくなり、環境問題への関心が深まった。
参加者の中には茅ヶ崎市を地元にする方々が多く、特に10代20代の参加者が多いです。また、横浜市や川崎市など他市から参加する方もおり、湘南ウキブイさんの認知度、活動への魅力が伝わっていると感じました。
デジタル技術との融合
近年、湘南ウキブイは環境活動にデジタル技術を取り入れる新たな試みにも挑戦しています。
2023年からは神奈川県いのち未来戦略本部室と協力し、ボランティア活動証明書のNFT化を推進。これにより、参加者の活動履歴がデジタル上に記録され、貢献が可視化されるようになりました。
「アナログな活動からデジタルを発信する」「デジタルの力を活かしてアナログな楽しみを広げる」
湘南ウキブイは、環境保全活動の未来を見据えた革新的な取り組みを続けています。
未来への展望
湘南ウキブイの活動は、ビーチクリーンという枠を超え、地域と環境、人と人とのつながりを深める場となっています。湘南ウキブイさんの長い活動による功労として、「神奈川県美化運動推進功労者表彰」、「茅ヶ崎市表彰条例による表彰」と社会から湘南ウキブイさんの長年の美化意識と行動を讃えられ、賞状が授与されています。
「環境を守る」というと難しく聞こえるかもしれませんが、湘南ウキブイの活動は、楽しみながらその意義を学べる場を提供し続けています。そして、その積み重ねが、未来の湘南の海を美しく、豊かなものにしていくと私たちは考えました。
作成日 2月28日
東海大学 建築都市学部 土木工学科 上田 篠宮
令和7(2025)
年3月8日 記