今年度の農福連携マッチング等支援事業も農福連携コーディネーター養成講座の2回目を迎え、去る7月10日(土)には、一般社団法人「ノーマポート」代表理事で農福連携特例子会社連絡会事務局長でもある高草雄士様を講師にお招きして20名の参加者のもと、ひらつか市民活動センターにて開催しました。

【講師紹介】

神奈川県内を中心に特例子会社と農家の農福連携を支援するために、各地で農福連携技術支援者研修などを通じてコーディネーターやサポーターの育成に力を入れるとともに、現場でのサポートを通じて障がい者と農家の農福連携のより良いあり方を追求する活動をされていらっしゃいます。

【講演内容】

講演では主に横須賀・三浦地域で活動されている特例子会社「パーソルサンクス」を例にとり、農福連携の活動の中で「分ける(ワケル)」と「解る(ワカル)」ことをテーマにお話を進めてくださいました。

「分ける」というテーマの中では、

  • モデルを分ける
  • スタッフを分ける

ということが農福連携そのものの理解を深め、実際の作業の中での役割を考えるきっかけになりました。農福連携のモデル分けとは、

  • 農家の直接雇用するモデル
  • 福祉事業所が農地を借りて農業を行うモデル
  • 福祉事業所が農家に行って農作業を行うモデル(業務請負)
  • 特例子会社が農地を借りて農業を行うモデル
  • 特例子会社が農家に行って農作業を行うモデル(業務請負)

などがありますが、他にも6次産業化を見据えた農福連携など、既成概念を固定化せずに自分たちの身の回りにある環境によって適した方法を考えていくことも大切です。その中で今回は5番目の「特例子会社が農家に行って農作業を行うモデル」について具体例を動画を交えて見せていただきました。

また、「スタッフを分ける」という視点では、

  • コーディネーター:農家と福祉施設の間で連携作りや調整を行う
  • サポーター:障がい者(利用者)と農家の間で農家の指示を聞いて作業分担・指示を行う
  • 障がい者(利用者):サポーターの指示のもとで本人に適した作業を行う

といった役割分担を行うことで現場での作業を効率化するとともに、農家と障がい者のそれぞれの負担を減らすことが可能になるということの実例を見せていただきました。

この中で大切なのはコーディネーターやサポーターが作業の目的を理解した上で、それぞれに、

  • 「ロール(役割)」:草をとる人、集める人、捨てる人など
  • 「ツール(道具)」:手袋、鎌、一輪車、台車など
  • 「ルール(規則)」:抜いていい草を見極める、作物を傷つけないようにするなど

を最初にみんなでしっかり共有できることが重要です。そのためにそれぞれの人の特性によってビジュアル的に説明したり理屈で説明したりを使い分けることも大切だということも述べられていました。

【ワークショップ】

講義の後は参加者の交流も目的としてテーブル毎にワークショップを行いました。ワークショップには講師の高草先生をはじめとして、昨年、平塚地区のコーディネータとしてご登録いただいている平塚養護学校の先生、湘南NPOサポートセンターのスタッフも参加して、自己紹介から自分の置かれた立場と農福連携といったテーマまでを幅広く議論していただきました。この中では農家さんと福祉事業所の方との新たな繋がりができたグループもあり、セミナーの最終回や今後のスタディーツアーにも繋がる展開も期待できる催しになりました。

【セミナー最終回に向けて】

次回のコーディネーター養成講座(実践編2)は座学の最終回になります。次回は平塚市内で既に農福連携を実践されている上吉沢地区の「湘南小巻ファーム」代表の小巻様にお越しいただき、農福連携を始めようと思ったきっかけや現場での実際の取り組みでの工夫、2年間やってきた感想などをお話しいただく予定です。

Share