実践講座③最終回のテーマは “新しい地域づくりの一歩を踏み出すために”
講師は、湘南NPOサポートセンター理事の宮崎道名氏。平塚市の人口変化に伴う大きな影響が、各地域で起きている事の現状を説明された。
講座の概要~平塚市の人口動向とこれからの地域活動のポイント
平塚市は75歳以上の後期高齢者数が前期高齢者数を超え増加していることが特徴的である。
今まで交通安全、防犯、お祭り、行事等地域を支えてきた人がいなくなり、同時に独居世帯も増加傾向で2人以下世帯が全体の55%になる。人口減少もこれからが本格的に起こることに伴い、近隣インフラ不備・老朽化により下流領域での大水、浸水被害等が頻繁に発生することが予測される。行政にまかせておけば何でもやってもらえる時代は終わり、暮らしを守るのは自分たち自身であり、自主的な地域活動や自治会活動が益々重要になってくる。
しかし自治会アンケートの回答結果からも、兼務等多忙により業務遂行にかなり無理がある現状で、例えば自治会長以上の活動時間は2.7H/回、8.5日/月で平均して、年間276時間もの時間を地域活動に充てている現状が見える。従って自治会頼みの体制も難しく、長期的な視点を持った担い手の育成と地域や組織を横断的に見て動ける人材の育成が大きなポイントになってくる。
元々は人材発掘や交流を目的としてのお祭りや行事があったが、やり方やあり方の見直しを図ることが求められる時代になってきた。各地域でも人口構成に大きく差があり、これからの地域づくりは今までと前提条件が異なり、最大限その地域の資源並びに既にチャレンジしている事を進化させたり、新たな取り組みを取り入れたり子供たちが帰ってきたくなるような優しいまちにしていくことが必要である。ぜひ皆さんで一緒に取り組んでいきましょう。
その後は各会場にてポストイットに①気になっている事、困っている事②やってみたい事等を記載してもらいながら意見交換を行いました。
●大神公民館参加者の意見
①気になっている事、困っている事
・大神の活動PRされていない ・公園利用方法が分からない 。課題抽出の為の勉強会が開催したい ・自治会の加入率が低い ・役員のやり手が未定、若い人はやってくれない ・病院がない。バスがなく買い物が大変 ・ツインシテイができ公園が7つ増設される。
②やってみたい事
・情報展開をスムーズに拡大したい ・学堂保育をきっちり展開、維持したい(大神の寺子屋 ・親子で雑草除去ゲーム ・行事イベントの声かけをスムーズにしたい ・気軽に集まれる場所を作ってみたい ・ホームページの閲覧数を向上させたい。
●富士見公民館参加者の意見
「高齢化・地域の担い手不足」に対して、地域の資源「学校(学生、生徒、子ども)、行事、公園等」を活用して、やってみたいことの幅を広げる、新しい視点を見出すことに繋げたいというストリーであった。地域資源は、やはり人であり学校や行事等を通して、子どもからその親との接点を増やして地域の課題に対応するものである。
ポストイットに記入して貰ったものの主なものを下記する。
①地域で気になること、必要なこと
・高齢者が多く、若者が少ない ・地域の担い手がいない ・地域に無関心 ・催事参加者が常に同じ
②やってみたいこと・取り組みたいこと
・町内会に入ることの負担を減らす‥会費を無料にする、参加時間を多様化する ・楽しいことをやる、参加賞を出す ・福祉会館、町内会館へ行くよう、声掛け・呼び掛けをする
③活かせそうな資源(機会、場、コト、モノ)
・学校がある(看護大学、農商高、小中学校) ・子ども太鼓 ・春日神社のみこし ・ホタルの森 ・桜ヶ丘公園 ・花水川の桜土手
講義はとても良かった、事例をもっと聞きたかったとのコメントがあった。ワークショップでは地域のことを再確認できたのが良かった、特に資源についてはこのような形であまり考えてきていなかったようで、改めてこのような方法で見つめ直すことの必要性を感じ取って頂けたと思う。
ワークショップは自らの地区を考える機会として良いもので、特に「活かせそうな資源」では、普通資源として考えないもの、つまり人に係るものを見出すことの必要性を感じた。この資源を活かすことで、活動の場及び範囲を拡げることに繋がることを認識することができた。
今後の課題としては①若い世代の参加者を呼び込む が最も大きな課題であり、②実施後の結果を見える化して、実績を明確に打ち出すことであろう。
講座の締め括りとして、鈴木理事より10年間の「ひらつか地域づくり市民大学」の総括を、スライドを通して紹介しました。
最後は市民部長から参加者の皆さんにねぎらいの言葉と共に、今後も協働して地域づくりに取り組んでいきたい、とのご挨拶をいただきました。
10年間、講座に参加してくださった市民の皆様、学びを実行に移し自ら地域づくりを行ってこられた皆様、協働で講座を開催してくださった平塚市の皆様、この場をお借りして御礼申し上げます。
地域づくりはこれからも永遠に続きます。その時々で関わる皆さんと最善の方法を模索しながら住んで良かったと思える街になるよう一緒に取り組んでまいりましょう。
記 2023年1月5日