一昨年、平塚市と協働で作成した「ひらつか地域活動の仕組みづくりnote」の考え方をもとに、昨年度は「HIRATSUKAまち・ひと・魅力づくりフォーラム」、「次世代まちづくりセミナー」を実施しました。
今年度はもう少し踏み込んで、共に創っていくために必要となる様々な関係者とのつながりや支え合いの仕組みをどう工夫していくか一緒に考えていくことを目的に「共創のまち育てフォーラム」を開催しました。
開催日:令和8年3月22日(日)13:30~16:00
場 所:平塚市崇善公民館1Fホール (平塚市見附町1-8)
参加者:25名
主 催:平塚市・NPO法人 湘南NPOサポートセンター
(1)基調講演 概要
「まちの資源を活かし、つなげる仕組みを創ること」
講師:宝楽陸寛 氏((公財)泉北のまちと暮らしを考える財団理事長)
泉北のまちと暮らしを考える財団 | ニュータウン革命を支える
宝楽氏プロフィール:1982年大阪府河内長野市出身。ビジネスからボランティアまでNPOや市民の活動のコーディネーターとして活動。対話型で居場所づくりを行う茶山台としょかん他、ニュータウンの協働で数多くのプロジェクトを手がけ事業化や、その仕組みの地域展開に取り組む。主に30−40代が中心となりコミュニティ財団「公益財団法人泉北のまちと暮らしを考える財団」を立ち上げ、現在、「温かいお金」が地域でまわる仕組みづくりを行う。

実際に現場で活動されている宝楽さんのお話は非常に興味深く、多くの学びを得ることが出来ました。
つながりを地域の力にそして「自走する自治」へ
地域がつながる仕組みの「下ごしらえ」として関係人口の構築が重要であり、つながりを地域の力にするための装置として自治会や中間支援組織が機能することについての説明がありました。
まちづくりのアプローチとして、従来のトップダウン型ではなく、暮らしの現場から制度の隙間や孤立・孤独といった課題を発見し、地域でできることと行政でできることを仕組み化してボトムアップしていく手法を採用している。特に大阪では住民自治側の自治が弱体化しているため、「自走する自治」の構築が重要であることのこと。
テーマに応じたチーム、コーディネータのつながりによる活動の促進
普段の日常からつながりを作り、QOL(生活の質)を向上させることで、何かが起きた時の支え合いができる仕組みづくりの重要性及び一箇所に集まる従来の居場所づくりから、小さなコミュニティを複数作ってネットワーク化する手法に転換したこと。多様な主体が社会資源を組み合わせるつながりづくりには、平時からの活動人口とつながりの構築が重要であるとご説明いただきました。
財源と権限の適切なバランス、「いいお湯加減」の仕組みづくりへ
新しい制度として公益信託が4月から開始されることを紹介していただきました。新制度では個人・法人問わず受託者になれ、現金・土地・建物・知的所有権も扱えます。まちづくり会社が空きテナントを信託で預かり、非課税でコミュニティ事業を行うことが可能になります。
支援が必要な人々と支援者の孤立を解決するため、「for」ではなく「with」の関係で共に笑いながらつながりを作る地域社会をめざしていくことが大切です。これからは「いいお湯加減」を作る様々なタイプのコーディネータが地域には必要であるとの説明がありました。
★新公益信託制度が令和8年4月から始まります。(内閣府HPより)
(2)クロストーク
「つながる仕組み、支える仕組みを考える」
ゲスト:梶田佳孝 氏(東海大学建築都市学部教授)
沖野太志 氏(神奈川中央交通(株)経営戦略担当課長)
コメンテーター: 宝楽陸寛 氏
コーディネータ: 鈴木奏到 (認定都市プランナー)

クロストークでは、企業・大学それぞれの立場で考えられること・実践できそうなことを意見交換しました。
①元気・魅力アップ活動への取組み紹介
沖野氏:神奈川中央交通では創業100周年を契機に、長期ビジョン「地域価値創造企業」を掲げ、人口減少・少子高齢化という社会課題に対応するため、湘南ベルマーレとの連携、交通安全教育冊子の作成と交通安全教室開催等を行っています。
梶田氏:東海大学では自治体と企業から課題を提供してもらい、学生グループで解決策を提案する「ものづくり学生サミット」の取り組み、学生が自ら発想し仲間を集めて実行する「東海チャレンジ」プロジェクトのように「ことづくり」すなわち街づくりにも範囲を拡大しています。
②ひらつかの多様な地域資源・個性の“つながりをより高める仕組み”とは?
沖野氏:平塚市だけでなく周辺市町村との連携による相互交流の仕組み作り重要性がますます高まっていると思います。
梶田氏:学生の地域課題への関心と実践意欲を評価しつつ、マッチングの仕組みづくりが重要、学生の社会実験への積極的参加を通じたコミュニケーション能力向上が地域の価値創造につながっていくのではないか。
宝楽氏:半径500メートルの身近な地域での手触りや生活感を重視した街歩きマップ作成の経験から多様性の中にこそ共創が生まれると実感している。
③様々な主体が “共に動き、支え合う仕組みづくり“のために必要なことは?
沖野氏:大学生との意見交換の機会を拡大し、路線間の地域間交流企画も考えられます。
梶田氏:学生の自主的な取り組み意欲を評価して魅力的な場と活躍機会の提供していくことでモチベーション向上につながっていくと思います。
宝楽氏:これからの試行としてバス会社を公益信託で運営することで、より地域に根ざした議論ができるのではないか。稼げる公益信託の可能性を活かすのも一策でしょうね。
参加者との意見交換
・共創の本質は「一人一人がまちづくりに対する思いを持つこと」ではないか、特に対話がまちづくりの根幹であると考えます。
・学生の主体的な取り組みを引き出すには、関心事を評価する。試行・実践の場での学びが重要だと思います。
・平塚の地理的多様性を活かした広域でのまちづくりの視点が駅周辺にも波及する。中高生や小学生のシンプルなアイデアを組み立てることも重要ではないか。
・「遊び」の重要性、目的を持たない自由な探索の価値がこれからのまちづくりには大切になると感じた。

若い世代からも活発な質問が飛び交い、これからの地域づくりは、年代を超えて一緒に考えていく必要性を実感しました。
参加者の感想 「アンケート」結果から
・小さいグループを作り、ネットワーク化していくことで様々な取組みが進んでいく仕掛けが
新鮮だった。
・楽しいまちづくりのエンジンとする。やりたい・チャレンジするという声を拾うためには地
域活動の場をつくり、声を引き出す・つなげる・地域の資源を共感し、まちづくりの方向性を
市民・企業・行政が同じ方向を向いたまちづくりが必要と感じた。
・”悦ぶ”の動機付け話しを伺い、地域支援を業務とする立場で地域福祉の担い手の好きな事・
得意な事は何だろうと改めて思い考えるきっかけになった。
・平塚の魅力、プレーヤーとなる市民や企業が楽しいを共感できるまちづくりが重要。
・包括支援センターでも大学や企業とのつながっていけると地域も活発になるかもと期待感が
増した。
まとめにかえて
わがこととして“共感”を持てることを積み重ねていくことが大切であると改めて感じました。
地域づくり・仕組みづくりに決まった答えはなく、楽しいという思いをつなげ、対話を重ねて
いく中から生まれてくると思われます。これからも一緒にチャレンジしていく機会をつくって
いきたいと思います。
開催報告書はこちらからもご覧いただけます。
2026年4月6日 記
