人生100年時代の地域づくりを考える~多世代の絆づくり~
誰もが住みやすい、住んで良かったと思える地域にしていくために、多様な世代・主体がともに、地域の課題解決等に取り組むことができる地域コミュニティの再生・創出が求められています。
第12回ひらつか地域づくり市民大学は、平塚市の新しいスローガン“あったかひらつか”にちなみ、温もりのある新たな地域づくりを次世代へつなぐポイントを探り、共有していくことを目指して開催しました。
【開催日】 12月21日(土) 13:30~16:00
【会 場】 崇善公民館1階ホール(平塚市見附町1-8)
【参加者】 34名(会場:21名、YouTube:13名)
第1部 基調講演
「自分らしく生きる~自己実現の居場所づくり」
講 師 後藤 純 氏(東海大学建築都市学部准教授)
第2部 パネルディスカッション
「支え合う地域づくり ~今、私たちに求められること~」
パネリスト 横内連合自治会会長 小宮 保 氏
花水地区町内福祉村会長 宮田 憲二 氏
市民活動団体「ひばり野のなかま達」 高橋 亜衣子 氏
平塚市社会福祉協議会 山嵜 菜央 氏
コメンテーター 後藤 純 氏(東海大学建築都市学部准教授)
コーディネーター 坂田 美保子(湘南NPOサポートセンター理事長)
第1部 基調講演 講師の後藤先生のお話を一部抜粋してまとめています。
■自分らしく生きるとは
・“自分らしく”と言うようになったのはこの20年の最近のこと。
・人生の先輩(高齢者)が「長生きしたい」と言えるまちをつくることが必要。そのためには、行政に頼るだけではなく、重層的、多様な支え合いが必要である。
・楽しく生きるためには、いかにフレイルになる年齢を先延ばしするか、フレイルになっても安心して生活できる社会をいかに創るが重要である。
・基本は「自分らしく生きる」ことである。
■在宅を基本に地域で包括ケアを
・国は病院のベッドを増やさずリハビリ終了後には在宅医療を優先する施策を取っている。
・そのために、医療の充実の他に近所の人との会話、助け合いが必要となり、新たな仕組みとして考えていく必要がある。
・シニアが元気に街中に住み続けることは、自分らしい楽しみにお金を使い、地域に還元していくことで地域に貢献し、若い人の潤いにもつながる。
■フレイルにならないための社会参画へ
・フレイルのリスクを減らすためには、社会的な役割を持っていることが大事。そのためには、外へ出て行ける空間が必要であるが、公民館は小さい。外へ出て行きやすくなる空間を多層で考えることが必要である。
■日本版エイジフレンドリーシティ(高齢者に優しい都市)へ
・まちづくり第一世代は、同じ時間、空間、みんなで話し合うコミュニティで組織化された、「みんなで」をキーワードに活動し、地域の課題を背負ってきた人達である。
・第二世代は、支え合う人が減ったが、NPOが発足し、有償ボランティア方式が出はじめ、学童保育、子ども食堂等が広まった。キーワードは「ネットワーク」である。ネットワークは掛け算であり、力ある団体間でネットワークを構築する必要がある。
・第三世代は、自分の才能で、自分達でサークルを作り、自分の好きなことに取り組む。それも自分達がクラウドファンディングで実践化している。
・第一、第二、第三世代をつなげて共に進んでいくには、地域の課題を自分事化することが大切である。
・楽しければ人は来る。地域ごとにワークショップをやって、自分達で考えて行くこと。
・誰にとっても居心地の良い空間はない。それぞれの世代が取り組んでいく場所(空間)をつくり、コーディネーターを育てていくことが大切である。
第2部 パネルディスカッション
「支え合う地域づくり~今、私たちに求められること~」
4名のパネリストの皆さんから日頃の活動をご紹介いただきました。
- 横内連合自治会会長 小宮 保 氏
・横内地区では各種団体のつながりが深いが、町内福祉村(横内スマイル広場)設立時には個人的にボランティアで関われる人を「公募」した。
横内福祉村運営協議会 https://yokouchi-love.com/category/group/fukushimura/
・最近の地域行事にも中学生の模擬店や高校生のイベント司会での参加が増えつつあり、地区の将来を語るまちづくりを考える会は世代を超え、個人参加を募り実施している。
- 花水地区町内福祉村会長 宮田憲二 氏
・花水地区の町内福祉村では、健康寿命を延ばすこと、自分たちが楽しい活動をすること、地域の特質を活かしての絆づくりをめざしている。
花水福祉村 https://hanamizu-fukushimura.jimdofree.com/
・多世代交流として、学習支援を通じた子どもの居場所づくり、花水小学校と連携して昔遊びを行っている。
- 市民活動団体「ひばり野のなかま達」 高橋亜衣子 氏
・高齢者と子どもとの関わり、つながりを高めるため、子ども(ふれあい)、保護者(子育て、家庭の悩みなどの相談)、ボランティア(人に役に立つ機会)それぞれみんなの居場所づくりをめざした。 (地域子ども食堂と学習支援を行っています)
ひばり野のなかま達 Instagram https://www.instagram.com/hibarinononakamatathi/
・活動を継続していくための関わってくれる人の気持ちを尊重するようにしている。
- 平塚市社会福祉協議会(包括支援センター勤務) 山嵜菜央 氏
・若い世代からすると、心理的に通いづらい居場所もある。どんな小さな声でも拾い上げ、共有していけるようにすることが必要だと思う。
・また、若い世代は周りとの関係性が希薄でも一人で生きていけると思いがちである、世代間の価値観や考え方を受け入れることが大切だと思う
・「ゆりのきオレンジカフェ」では楽しい、と思える場づくりをめざしている。
平塚市高齢者よろず相談センターゆりのき(地域包括支援センター)↓ ↓
https://www.hiratsukasyakyo.jp/business/senior/yorozu-yurinoki.html
■ 会場参加者との意見交換
Q:若い人が参加できる工夫は?
A:自治会役員だけで決めず中学生、高校生などの意見を聞き楽しい機会にするための働きかけを行った。
Q:高齢・独居化、孤立・孤独対策への対処は?
A:ごみ出し等の生活支援については地域の中学生が登校前にできないか検討中である。
A:福祉は声掛けが第一歩だと思う。ボランティアを通じて、地域活動への参加を促すことになる。
Q:地域のコーディネーター的役割を担ってくれる人材を探すには?
A:現在の仕組み(ルール)は動いてくれる人が多数いた時代を反映したものである。自分たちが動 きやすい仕組みをつくることも大事。楽しいをきっかけに、地域に参加し運営をしていくような循環型が大事になってくる。
■参加者の感想(アンケート結果より)
受講者34名のうち16名からアンケートにご回答いただきました。
年齢構成は、10代1名、40代1名、50~60代7名、70代以上7名。
●基調講演については8割以上の方が「とても良かった」との評価でした。
【感想】
・介護予防について、制度やサービスだけでなく、居場所づくりが重要なことを実感できた。
・わかりやすいデータを交えながらお話しいただき、これからの取り組みのポイントが見えてきた。
・世代をつなぐ仕組みづくりの大切さを感じた。
●パネルディスカッションについては3割が「とても良かった」6割が「まあまあ良かった」との評価でした。
・交流し合える場があるとボランティアを続けていける、生きがいを感じられると再認識できた。
・楽しい活動がボランティアや役員の定着、そして団体や地域の活性化になると感じた。
・住んでいる人の声を聴くこと、できることをコツコツとやっていくことが継続の原点だと感じた。
【感想】
・声掛けや情報を伝える手段も変えていくことが大切だと感じた。昔ながらのルールややり方を見直す時期にきている。
・参加者に若い世代が少ないのは残念である。参加者を交えて多世代で意見交換できる場や機会としての市民大学になるといいと思う。
・安心して暮らしていける地域にしていくためには医療や介護に加え、薬・健康相談等の幅広い分野の連携も大切だと実感できた。
・身近なテーマをいろいろな市民団体や地域団体が語る活動から未来が見えてくると感じた。
■まとめにかえて
・昨年度、平塚市市制100年を見据えた「平塚市総合計画-ひらつかVISION-」の策定と時を同じくして、平塚市と湘南NPOサポートセンターが市民提案型協働事業として「ひらつか地域活動の仕組みづくりnote」を作成しました。
・今回の市民大学は、その中で掲げた “共創型まちづくり”を踏まえ、 次世代へつなぐ仕組みづくり、多世代が参画する体制・企画・発信づくりの一環として企画したものです。
・新しいルールをつくり、我がこととして、楽しく参加できる活動へのかじ取りのきっかけづくりになったのではないでしょうか。
・様々な世代の思いを一つにしながら、我がまちづくりを進めていく新しい仕組みを整え、次世代につないでいくため、みんなで“チャレンジ”していきましょう。
*令和3~5年度 「社会環境の変化に対応した地域活動の仕組みづくり支援事業」
記 20250228