去る6月23日に行われた『まちづくりと市民のちから』講演会
多くの皆様にご参加いただきありがとうございました。
講師の前我孫子市長の福嶋氏(現消費者庁長官)が話された内容と
アンケートによる参加者の皆さまからの声を
簡単にご紹介させていただきます。
◆講演の主旨 (抜粋)
新しい公共とは、官の下請けではない
「新しい公共」のスタイルとして、民と官が協働して事業を行うという“協働事業”が各地で始まっている。
しかし、この協働事業は、民間を行政が下請けや手先として使うような姿になってはいないか。
“協働事業”を行政が認可し、住民側も補助金がもらえるので、
官の言いなりになって協働事業を実施している、という姿が多いのではないか。
「公共」は「市民の公共」しかない
「公共」は、公共サービスや公共施設などと使われるが、古いとか、新しいとかがあるのではなく、
市民のための公共以外にはありえない。
市民のための公共を「新しい公共」と呼ぶのは、今までの公共が、市民のための公共になっていないからだ。
政治家や役所のための公共はありえず、政府や行政は、市民が自分たちの公共を作るための道具である。
必要な道具であり、役に立つ道具でなければならないが、道具にすぎないのだ。
従来、公共は官が担当してきて、税金を使って提供されてきたが、官は税金が市民のものという意識が薄いようだ。
昔から公僕という言葉があり、官は民に尽くすということだが、
言葉だけで、実際には「御上」がしもじもに恩恵を与えるという意識に近かった。
そして、市民側も同じように官は「御上」で恐れ多いもののように感じてきた。
住民主権は、本来、住民が行政の上に立ち、行政は市民の「しもべ」ということである。
「協働」は受益者市民のためのもの
市民の定義は「主権者市民」と「事業者市民」、「受益者市民」の3つに分けられる。
事業者市民とは、まちづくりのために組織をつくって活動する市民(NPOや市民活動団体、企業をも含む)のことを指す。
事業者市民と行政が対等な関係で事業を行うことが協働だが
両者が満足すればいい協働だと言うのはおかしい。
誰のための協働かというとそれはサービスの受け手、いわゆる受益者市民(人だけでなく、山や川という環境や他をも含む)が
良い事業だったと評価してはじめていい協働だったと言えるのである。
「協働事業」は行政や事業者市民(団体)双方の自己満足ではなく、受益者市民の為のものでなければならない。
さらに
自治体と国とは制度が違う、についての話や
我孫子市長時代に住民参加のしやすい市政を推進した、等のお話もいただきました。
※当会のメンバーによる議事録のため聞き手の立場によって多少の違いがあることをご了承ください。
◆当日の模様をDVDにまとめました
お聞きになりたい方がいらしたら、貸し出しをいたしますので
下記 メールアドレスまでご連絡ください。
◆参加者アンケートの声から(抜粋)
・協同・協働、主権者市民・事業者市民・受益者市民の話は目からうろこだった。
・意見が対立している現場に行き、対話を徹底することが大切なのだと強く感じました。
市職員としてそういった市民の間に立ってコーディネートができるよう、今後は意識して働いていこうと思います。
・補助金の一斉廃止と予算設定過程のHPへの掲載は非常に感心した、平塚市もやったらどうだろう。
たとえば補助金の再見直しにより余剰金を介護事業に回したらどうだろうか。
・民主主義について、言葉はちがいますが、市民参加について学ぶことができました。
・ユーチューブで見ておりましたので、本日直接お聞きしてなお良くわかりました。
意見を出すように心かげます。「コストより質」感銘を受けました。
・理念もさることながら、実践の説明に迫力あり。指定管理の例は行政の仕事の本質のあり方が…。
・住民投票はどうしても実現させたいと思っていましたので、とても参考になりました。
・素晴らしい講演大変ありがとうございました。議員2年目として、しっかり現場に入り込んでいこうと決意しました。
・市民自治とは…新しい公共とは…とのコンセプトを改めて認識いたしました。現場で生活する市民と直でつながりをつけ
現場に飛び込んでいく姿勢に首長としての使命感と責任感を感じました。また、市民のモチベーション(身勝手な要望ではなく
アンテナを高くして横断的な視点をもつこと)を高くしていかなくてはいけないのではないかということも感じました。
・主体と目的について再認識することで頭の整理ができました。論点が明確で関心が継続しよい講演でした。
「質で決める。コストで決めない」何事にも通じるポイントですね。
・参加してこれからの行く道が見えたと思いました。考え方、やり方、参考にさせていただきます。
・我孫子市長の体験で、行政、市長、議会の立場でお話しされましたが、平塚の市議会はどのようになっているかわかりませんが、
これから少しずつ勉強して参加したいと思いました。
・主婦業づけの日々生活を送っている私にとって素晴らしいお話でした。質問事項にしても意志の強さに感心しました。
・「協働」の定義について、「公共」の考え方、何を変えるべきなのかが、講演内容が非常にわかりやすかったです。
・協働ということについて、改めて考えさせられました。我孫子市で行った事業の棚卸し、提案事業ということを
今の平塚にできるかというと難しい。何が難しいというと協働ということの考え方が古いと思うからである。意識を変えていかねばと思いました。
・まちづくりと市民のちからとのテーマでしたが、とても聞きやすくまた大変に参考になることが多く、とても良かったです。
市民と向き合うこと、対話し続けること等、今後も私の立場で一生懸命取り組んでまいりたいと思います。
◆講演会終了後、主催者メンバーで懇親会を行い、福嶋さんにもご出席いただきました。
ご多忙にもかかわらず、お付き合いいただいた福嶋さんは本当に気さくな方で、
懇親会でも議論が活発に行われ、話題がつきませんでした。感謝、感謝です。