人の手を少し借りられたら、小さな手助けがあったら、小さな気遣いがあったら、

そんな思いからオープンしたカフェが平塚市岡崎地区ふじみ野にある。

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ふじみ野2丁目の中央通りに面した庭のある一軒家。このお宅では、毎週木曜の午後にゆるやか憩いの場が開かれている。

玄関先にはクリーム色に塗られたボードに、「ふじみ野ふれあいスポット」と柔らかな筆で書いてある。ご自由にお入りくださいの一言も添えられて、ホッとできるそんな場所が、ふじみ野ふれあいスポットである。

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このカフェは、この地域で生活する高齢の方々が、外に繋がるきっかけをつかめるよう、誰でも気軽に立ち寄れ、話しができる場として、2014年4月にオープンした。

自治会の協力で、ふれあいスポットのお当番が交代で話しの輪を繋げるボランティアとして携わっている。参加する人たちが少しずつ増えていけたら、と願いながら活動している。

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庭に面した洋室では、70〜80代の4〜5人の方々とボランティアの女性スタッフの3名が過ごされていた。お茶とお菓子、季節の果物などが食べやすく切られていて、気遣いが優しく感じられる。

その場の会話は、取りとめのない話で、80歳代の方のこどもの頃の話は、まるで昔ばなしのようだった。お風呂をもらった話、肥溜めのはなし、五右衛門風呂の話、銭湯の話、三介の話などなど…。

ボランティアスタッフが今週の老人会の予定の確認もしっかりと織り込んで和やかに、そしてゆっくりと時と共に会話が流れる。

この日は、今月87歳になられる勢津子さんの誕生日祝い。壁面には誕生日を祝う絵が掲げられ、みんなで「ハッピーバースディ」の歌を歌った。かわいらしく添えられていたカードが、何とも言えずに心があたたまった。

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岡崎地区ふじみ野1、2丁目には約2,000人が住み、北隣と東側は伊勢原市で、東も西を田園地帯に囲まれた住宅地だ。地区公民館や町内福祉村、避難所の小学校は、他地域の端にあり、ふじみ野2丁目からは遠かったり、坂が多かったりで、自家用車に頼れない人には、手段がない。

高齢者率は40%を超え、独居率は8%、昔ながらの大家族形態(三世代同居)の18歳未満同居世帯率は、15%ほどである。

過去は子育てに忙しくその時間を共に過ごしてきた住民たちの時間は、40年近くを経た。日々の買い物に訪れていたショッピングセンターは、多くが閉店し、そのときの子育て世代が高齢者と呼ばれるようになった。

一日を生活し、暮らす。

日常は、日々の積み重ね。

人はそれを積み重ね、年齢を重ね生きていく。

子どもたちは成長し、共に過ごした家から巣立ち、新たなる家族という形態を築き生活を送る。

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そこに住み続ける人々の、お互い様、持ちつ持たれつの共助の気持ちが、人と人を繋いでいる。ちょっとの心遣いと小さな優しさが人を元気にする大きな力になる。

それは、どの世代においても必要なことで、大切にしたいことの一つである。

記亊担当 大和田

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