神奈川県平塚市土屋地区に「神奈川動物愛護センター」があるのをご存知でしょうか?

同センターは、動物愛護思想の普及、動物の適正飼養及び動物による危害の防止などの事業を実施し、人と動物とが円満に共生できる地域社会の実現を目指して活動しています。

私たち湘南NPOサポートセンターのスタッフ4名は、2月9日に「老犬介護セミナー」を開催するにあたり、より知識を深めようと、2020年1月15日(水)午後、神奈川県動物愛護センター(平塚市土屋401)に行って来ました。見学会の様子をまとめましたので、ぜひご覧ください。

■センターの成り立ち

このセンターは昭和47年に野犬による危害(狂犬病など)から人間を守ることを目的に「神奈川県犬管理センター」として開設されました。当時は各保健所で実施されていた野犬の捕獲抑留等の業務効率化のために開設されましたが、県民の動物愛護意識の高まりとともに犬による危害防止対策から動物保護行政へと変化する要望に対応しながら質的転換を目指して昭和52年には「神奈川県動物保護センター」、令和元年には「動物を処分するための施設」から「生かすための施設」として「神奈川県動物愛護センター」と改称して現在に至っています。

 

■主な業務内容

「神奈川県動物の保護及び管理に関する条例」の施行に伴い、犬関係業務の他に飼えなくなった猫の引き取り、指定動物の飼育許可、動物販売業の届け出受理の業務を行いながら、保護犬、保護猫等の適切な管理(毎日の散歩などを含む)や新たな飼い主への譲渡支援、「犬のしつけ教室」や「ふれあい広場」などの催しを開催して動物愛護精神の普及に努めています。現在は事務職を含めて獣医など20名弱のスタッフで運営されています。

■対象地域

神奈川県下の横浜市、川崎市、横須賀市を除く全域を対象として各自治体や警察署、保健所などと連携しながら業務を行なっています。

 

■業務内容の変遷

当初の目的は「犬による人間への危害防止」だったために捕獲から5日間が経っても引き取り手の現れなかった犬はガス室(二酸化炭素の充填による窒息死)で無条件に殺処分されていました。ピーク時には毎日200頭前後の犬が殺処分され、昭和47年には犬18,000頭、昭和63年には猫12,000頭が殺処分されました。しかしその後の動物愛護行政の変化やボランティア団体等の努力もあって平成26年度以降は神奈川県での殺処分数は”0(ゼロ)”となっています。しかし原則的には規則の上では保護された動物は「殺処分対象動物」に変わりはないため、この先の環境次第では止むを得ず再び殺処分を行わざるを得ない状況にならないという保証はありません。現在はボランティアの皆さんやセンター職員の努力で「殺処分をしない」という状況が保たれているに過ぎないのです。ちなみに昨年新しく建てられた施設には殺処分のための設備は設けられていません。

 

■最近の動物愛護環境について

動物愛護の考え方が一般に普及してきたこともあり保護動物の数は減少し平成30年度のこの施設での保護数は犬48頭、猫114頭となっています。この中には飼い主の高齢による死亡によって現実的に飼育が難しくなり保護される例もありますが、この5~6年では多頭数飼育崩壊(飼い主の飼育能力以上の動物を飼った挙句に飼いきれなくなってしまう)による猫の大量保護が問題になっているとのことでした。

 

■今後の取り組みについて

これからは理由の如何を問わず保護に至る動物を限りなく”0(ゼロ)”にするための取り組みが最重要の課題だと考えられています。そのためには飼い主の「最後まで責任を持って飼いきる」という意識の改革をさらに進めるとともに

1.動物愛護の普及啓発(飼い主や子どもへの普及啓発など)

2.ケガや病気の治療(しつけや馴化など)

3.ボランティアとの協働(飼い主のいない猫対策、譲渡会など)

4.災害時における動物救護の推進(セミナーや模擬訓練、マイクロチップの普及など)

5.愛護動物の保護(迷い犬等の保護や引取り、保護動物の管理)

といった観点から迷い犬対策としてのマイクロチップの装着と適切な登録管理なども含めて積極的な活動を続けていきたいとのことでした。

 

 

■その他

昨年(令和元年10/1)から神奈川県では多頭飼育についての条例が施行され、10頭以上の飼育については届け出が必要になりました。またいわゆる飼い主のいない「地域猫」の避妊・去勢手術をセンターにおいて一定の条件下で無料で実施してもらうことが可能なので、身近でそのような問題があれば愛護センターまで連絡をして欲しいとのことでした。また施設は基本的には神奈川県の税金で運営されていますが税金だけでは多くの業務を行うことが現実的に難しく、保護犬・猫の治療、しつけ、訓練、譲渡などはボランティアの方が担っており大変な苦労をされているとのことでした。そのため現在では「かながわペットのいのち基金」が設立され多くの支援者から寄付が寄せられており保護された犬や猫の譲渡活動の推進に活用されているので、志のある方には是非ともご協力をいただきたいとのことでした。 (文責:鳥巣真充)

 

■見学会に参加して・・・

「殺処分ゼロの真意」

県は盛んに「殺処分ゼロ」を強調していますが、その言葉が1人歩きしている感は否めません。今回の見学でその真意を知ることができました。

同センターでは当時、犬猫の健康維持、飼い主の捜索、新しい飼い主への譲渡の仲介などの対策を行ったのち、それでも取り残されてしまった犬猫についてやむなく安楽死させることがあった、と説明がありました。

「殺処分」という表現は適切ではないと思いました。「無慈悲な処分ゼロ」というべきか…。

 

「ペットは飼い主を選べない」代わりにベターな飼い主とのマッチング

「わあ、可愛い。飼いたい」というような、一時的な感情での犬猫の譲渡はしません。そこには何段階かの飼い主に値するかどうかの試練があります。

例えば、平日に講習会を受けなければならない。

何故平日なの?

集まりやすい土日曜の方が集まりやすいのでは?

いやいや、このような条件でも飼い主たるもの生き物のペットを家族にする覚悟があるかどうかを見極めるという、ハードルがあるそうです。ハードルはまだ幾つもあって最終的には飼い主とペットとの相性が合わないとお断りするそうです。また捨てられて戻ってこないように…。

 

センターをテーマパークのような人がもっと集まる施設にできないか?

センターの中にあるCat tower(キャットタワー) は、猫好きな方なら何時間いても飽きないくらい可愛い猫たちが戯れています。あたかも巷の猫カフェのようです。

そしてセンターの隣にある旧保護センターは取り壊されて、Dog run(ドッグラン)ができるとのこと。

また、センターから続く丘の上には立派な慰霊碑が建立されています。同センターは平日ならいつでも無料で見学が可能で地元の幼稚園の子どもたちも見学に来ています。

そこで、土屋地区の活性化に活用できないだろうか?もっと人が集まる施設にできないだろうか?

火葬場のような位置づけで、人里離れた保護センターの敷地にあるので立地は悪いが施設自体が明るいイメージになったのを機に街づくりに役立て行きたい。県の施設だが、平塚市にあるのだから県と市が連携して何かを始めることはできないだろうか?

神奈川大学跡地の開発も含めて広域に活用されることを大いに期待しています。 (文責:清水)