さあ、今日の朝ご飯は、なにを食べよう。パンにしようか? ご飯があったかな?

崇善小学校の近くにある「食彩酒房あおば」(明石町19-24、以下あおば)で、月に一度、月曜日の朝に、子どもだけでも、大人だけでも、家族でも食べに来ることができる食堂「朝ごはんこども食堂」(以下食堂)が開店します。朝6時頃に食堂が開いて、8時頃まで朝ご飯が食べられます。料金は子ども50円、大人200円。容器を持参すれば、持ち帰りもできます。

「家でご飯をサッと食べればいいじゃん」「コンビニで買ってサクッと歩き食べ」、

もちろん朝の空腹をどんな風に何を食べるかは、人それぞれ。

おかあさんと中学生、小学生2人のご家族がご来店です。手すりに掴まって急な階段を上がっていくと、「おはよ~」と堤園子さん(NPO法人未来経験プロジェクト理事、平塚市在中、44歳)の声が響きます。堤さんは、精神保健福祉士、社会福祉士、保育士の資格を持ち、平塚市で働いています。そして、NPO法人未来経験プロジェクト(以下未来経験)は、子どもたちの職業体験や農業体験、子ども食堂、学習支援の開催など、子育て支援に関する幅広い事業を展開する市民活動団体です。

ご家族は、まずカウンターに置いてある紙に4人の名前を書き、4人分の料金350円を支払いました。窓際の奥の座敷に3つある座卓の一つに座って、4人で朝ごはんの時間が始まります。隣の座卓やカウンターでも、中学生の女子グループや地域に住む女性、中学校の先生、民生委員、未就学児・小学生・中学生の親子などが、朝ごはんを食べています。

普段の食堂のメニューは、おにぎりと味噌汁です。この日は、理解のある企業からバンズの提供があり、バンズといろいろサラダ、具だくさん野菜スープがメニューとなりました。バンズは、特大で、ゴマがのったプレーンのバンズの他にトマトとよもぎの3種類。ほんのり野菜の色もついていて、見た目もきれいで美味しそう。2つに切って軽く焼いたバンズ、スクランブルエッグとサニーレタス、スライスチーズとハム、キュウリとツナのマヨネーズ和えがそれぞれ盛られ、お皿に手を伸ばし、好きなようにバンズに載せて、大きく口を開けて食べ始めました。ケチャップを足して味のバラエティを楽しんだり、味の違ったバンズのおかわりをお願いしたり、おしゃべりしながら、口いっぱいに頬張る中学生、食事をしながら配膳のお手伝いをするお客さんもいました。お客さまという立場の他に、お手伝いもできる食堂は、いつも一緒にいる人との食卓のよう。

お客さんは25人。来店した3歳ぐらいの女の子と働いているママは、「ここにきて朝ごはんを食べると、自宅で食べる時よりも食欲がでてくるのか、子どもがいつもより沢山食べる」と話していました。ただそこにある場所に足を運び、食事をするだけ。食欲にプラスに作用する心地のよさが、この食堂にはあるようです。8時を過ぎて、お腹もいっぱいになった子どもたちが学校に向かうとき、堤さんは「いってらっしゃい」と声をかけて送り出し、彼らは、急な階段を下りて登校していきます。いつもよりちょっと遅く8時30分に閉店しました。

食堂で使う食材の多くは、「役立ててくれるといいなあ」という人や企業からの寄付で賄っています。野菜は、規格外のものと、好意のものと両方寄せられています。規格外の野菜は、販売ルートに載せられないだけで、野菜の味が落ちることはないと、生産者の自信作が提供されています。いろいろな食材が、開店の前日の夕方に6つの段ボール箱にそれぞれが箱いっぱいに詰められ、未来経験のスタッフによってあおばに運ばれてきました。この日の野菜の大きさは特大で、段ボール箱が小さく感じるほど。これらの食材を使って調理された具だくさんスープの味は、とても優しくて、朝の空っぽのお腹をあたため、幸せな気分にしてくれました。バンズのサンドイッチは味わって食べたはずが、美味しくてあっという間に食べ終えて、満腹になりました。食堂に寄せられた食材で残ったものは、近隣の子ども食堂に回したり、別の場所で「シェアディナー」を催す際の材料として提供したり、「命をいただいている」という気持ちを大事にして活用しています。

調理は、あおばの店主の田城裕子さんが担っています。田城さんは、

「食中毒が心配な季節だから、食堂を開店する日は朝4時に起きて下ごしらえをして、調理をする。自分のできることがあるならやるよ」

と、場所であるお店の提供と調理のボランティアをしています。

味噌を提供している株式会社塩田商店の塩田貞吉さんは、言葉を寄せます。

「何かお手伝いをと思って提供しています。せっかく召し上がっていただくので、お味噌もなるべくなら美味しいものをと考えて、子ども達に自信を持って食べていただける弊社の逸品に決めました!」

あたたかい言葉に心がジンとして、食堂で美味しい味噌汁が食べたくなります。

堤さんは言います。

「月に一度食堂を開いていますが、開店する日を増やしたい。開店日を逃してしまうと次に会えるのは2か月後だったり、3か月後になったりします。みんなの顔を、間を開けずに見られる状態にしたい。ここはいろいろな人が来ていい場所。地域の人と子どもが出会う機会、出会うための仕組みを作っている。子どもたちを応援すると、子どもたちに笑顔がふえ、大人の元気と笑顔に繋がる。なにより、みんなで食べる食事はおいしいでしょ」

私は、我が家で家族と一緒に夕飯を食べる時間が好きです。

あなたは、誰と、どこで、ご飯を食べる時間が好きですか。

●朝ごはんこども食堂 子ども50円 大人200円

8/5(月)、9/2(月)、10/7(月)、11/11(月)、12/2(月)

●NPO法人 未来経験プロジェクト mirai.keiken@gmail.com  http://mirai-keiken.com/

●Facebook

NPO法人未来経験プロジェクト / 食彩酒房あおば

 

朝食を欠食する子供(小学生)の割合は、2018年度は5.5%となり、近年増加。朝食を欠食する中学生の割合も、同様に増加。子供の朝食欠食率は、近年増加している。過去の調査によると、朝食を食べない理由は、小学生、中学生とも、「食べる時間がない」、「食欲がない」の順に多く、それぞれ約4割。 毎日、同じくらいの時刻に寝ていない小・中学生の割合も、近年増加。このような小・中学生ほど朝食欠食率が高い傾向。『平成30年度食育白書』、農林水産省

社会環境やライフスタイルの変化にともない、家族揃って食べる機会が少なくなっているからこそ、家族揃って食べる貴重な機会をどう活かすか、その質のあり方がいっそう重要になってきます。『「食を通じた子どもの健全育成(-いわゆる「食育」の視点から-)のあり方に関する検討会」報告書』、厚生労働省

一週間のうち、家族そろって一緒に朝食を食べる日数は、「ほとんどない」が32.0%と最も多く、次いで「毎日」が25.8%、「2~3日」が21.4%となっている。 また、一週間のうち、家族そろって一緒に夕食を食べる日数は、「2~3日」が36.2%と最も多く、次いで、「毎日」が26.2%、「4日以上」が18.6%となっている。 なお、朝食と夕食を比較してみると、夕食のほうが、家族そろって一緒に食べる日数の割合が多くなっている。『平成21年度全国家庭児童調査結果』、厚生労働省

 

ライター:大和田マイ子

※この記事は当法人が開催した「WEBライター養成講座」(全3回/5月29日・6月12日・6月19日)の受講生が、受講中に取材して記事にしたものです。