平塚にはバラの街として、名所がいくつもあります。

この写真の場所がどこだか分かりますか?

平塚市観光協会の2017年版 観光写真カレンダーにも載っているところです。

ここは平塚駅南口広場です。

 

何の変哲もない駅前広場がこの数年で一変、平塚のバラの名所として60種106本のバラが綺麗に咲く憩いの場となっています。この広場でバラの育成を手掛けている「平塚花のまちづくりの会」の代表である山田美智子さんにお話を伺いました。山田さんの本職はメディア関係のパーソナリティー、その傍らでまちづくり、防災など、多くの市民活動に携わられています。

 

「バラの名所」へのきっかけ

平成23年、平塚市協働推進課とひらつか市民活動連絡協議会の協働事業として、“平塚に暮らしたくなる、訪れたくなるまちづくり”を特産であるバラをシンボルとして発信することになったのが発端。当時、平塚駅南口広場には雑草がいっぱい生えており、噴水があるにも関わらず広場へ入れず、来訪者へのおもてなしの観点からしても改善の必要性がありました。山田さんは、連絡協議会のメンバーでもあり、常々まちづくり、景観づくりに関心を持っていました。そこで、ここを何とかしたいという想いから、協働事業「花のまちづくり バラをシンボルとして」を提案、そして活動の中心人物となりました。

 

バラの名所の裏舞台 〜こんな活動をしています〜

平成23年、24年は協働事業として、南口広場の草むしり、整備を連絡協議会のまちづくり部会、平塚MAC、神奈川大学コミュニティクリエイションなどと実施。平成25年に「平塚花のまちづくりの会」を設立してから、バラの植栽と手入れ、ハーブ類の育成などをしています。

 

「平塚花のまちづくりの会」の主な活動は三つです。

一つ目はバラの植栽と手入れ。毎週水曜日に南口広場において、草取りから始め季節に応じた作業は年間を通して実施しています。会の発足から約4年間、この短い期間でバラの名所に仕上げることができた裏には、並大抵ではない努力と苦労がしのばれます。

山田さんは「バラの育成は本当に地道な作業で、苦労が多く大変です。でも皆さんがこの場に来ると癒される、綺麗と言って喜んで頂けることが一番ですね。」と。

夏は草取り作業がメイン。暑さとの戦いです。

 

二つ目はバラを知り、学ぶこと。横浜ばら会専務理事の今井宣代氏を講師に招き「バラ講座」を開講しました。専門知識を学ぶ講義をひらつか市民活動センターで、講義後に実践作業を南口広場で、年3回実施しています。「バラは奥が深く、学ぶことが多い。活動をする上では専門性を身に付けることも必要です」また「バラに興味がある方、活動してみたいと思う方は、まずこの講座に参加してみると良いかも」と山田さんは話します。

三つ目は活動のPR。毎年4月に開催される平塚市緑化まつりではバラの講習会を実施、9月のひらつか市民活動センターまつりでは、作成した“平塚バラマップ”も配布して、市内のバラの名所、お店の紹介をしており、これら活動を通して他の市民活動団体との交流を図ったり、また一般市民から会員を募集しています。

 

山田美智子さんに想いを聞く

「会員の皆さんが“楽しい、やりがいがある”と思えるようにすること。そして、自分達が行ったことを市民や来訪者の皆さんに喜んで貰えるようにすること」が活動を進める上でのポイントだと、山田さん。

苦労しているのは「お金と人材。年会費1,500円であるが、それだけではバラの育成には不十分です。協賛金を頂くこと、不足分として平塚市から肥料の現物補助があり、この中でやり繰りをしています。あとは若い人が入ってくれるとうれしいですね」。会員は20名で中心年齢層は60~70代、男性は4名です。男性の積極的参加を期待しているそうです。

今後は「会設立から5年目になり大分“かたち”はできてきた。特徴のあるバラの育成、バラの植栽にストーリー性を持たせたい」さらに理想は「平塚をバラの街として、市内に点在している個所を上手く繋げて全体で盛り上げたい。そこで、グッズやアイスクリームなどの販売もできるようにして、経済的にも潤うようになれば」それには「平塚を繋げる人、同志が欲しい。そのためには一朝一夕ではできず、しっかりとしたビジョン、連携できる仕組み作りが必要です」(山田さん)。熱い想いが伝わってきました。

活動の原点として、“まずは自分が楽しいこと、そしてそれが人に喜ばれることが原動力”を自ら体現されており、さらに理想、夢を語る山田さんの、このバイタリティはどこからと聞くと「好奇心!」と一言。

でも最後に、「バラは綺麗だけど、バラの育成は本当に地道な作業の積み重ね」と念押しも。

 

皆さん、平塚駅南口広場に是非訪れてみて下さい。綺麗なバラの花は春5月、秋10月をピークとして、3月から11月まで長い期間に渡って目を楽しませてくれます。興味がある方はここで活動してみませんか?

「まずは顔を出すことだけでも結構です」と山田さん。

 

大切なのは“まず一歩踏み出す”こと

筆者は平塚市観光協会の市民観光サポーターとしても活動しています。本年5月に「平塚のばら名所めぐり」を企画した際に、各名所におけるバラのガイドを山田さんと、グリーンアドバイザーで「平塚 花のまちづくりの会」のお仲間の神林さんにお願いしました。

平塚駅南口広場で説明される山田さん(右)と神林さん(左)

そこで熱心な活動状況を知ることができ、またなぜ短期間でこのような名所を作り上げることができたのかを聞いてみたくなりました。

会の活動内容や山田さん、会員の皆さんの想いは、他の市民活動をしている皆さんにも参考になるものと思います。平塚全体で盛り上げることに大賛成。そのためにもしっかりとしたビジョン、連携できる仕組みづくりが必要にも同感。それと共に個人が“まず一歩踏み出す”ことからを改めて感じました。

(取材 2017.8 田中 勉)

 

連絡先:山田美智子さん

電話:090-1659-4343

e-mail:yama30-4@mb.scn-net.ne.jp

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