今回は、平塚市漁業協同組合の伏黒哲司さんを取材しました。「平塚100人カイギ」の第1回目に登場したのを拝見してすごく興味深かったので取材を申し込みました。

取材風景 右が伏黒さん

 

海との出会い

富山県出身で、1997年に東海大学の体育学部に入学しました。バスケットをしてきたので大学でもやりたくて入部したのですが、東海大学のバスケット部はレベルが高すぎて相手にしてもらえませんでした。おもしろくないなと思っていたころ、富山弁で話す私に、平塚海岸でライフセービングをしている同じ富山県出身の先輩から、

「お前、富山弁しゃべってんな。俺は平塚の海岸でライフセービングをしているんだけど、良かったらやってみないか?」

と誘われたんです。それで、見学にいったのですが、心肺蘇生法などすごいことをしているのをみて驚きました。その後も海に誘われ、ボードに乗ったりして今までになかったことだったので、すごいなと思ってライフセービングクラブに入部しました。

富山県の山間部から関東に出てきた私の海との出会いです。

大学時代の伏黒さん

現在は、湘南ひらつかライフセービングクラブの副クラブ長をされています。

湘南ひらつかライフセービングクラブ

 

ライフセービングの訓練

 

社会人との関わり

ライフセービングクラブの関係で平塚海岸のビーチセンターに出入するようになりました。ちょうどその頃センターを充実しようと、ビーチクラブの人や、青年会議所の人たちがセンターに集まってきていて、その方たちにとても良くしていただいたんです。「飲みにいこうよ」「飯でも食いに行こう」などと誘ってくれました。飲みながら、食べながら、

「この海岸は昔、泳げなかったんだ。でももっと何かできるよな」

「海外の海もみたけど、もっと何かできるよな」

などと熱く語るのを聴いて

「ここは、夢があるところだなあ。こんなところに住んで生活していけたらいいな」という想いが芽生えました。とはいえ、大学を卒業して、すぐ漁業組合に入ったわけではありません。

少しのあいだ、ふらふらしていましたが、漁業組合の関係者に

「漁業組合の仕事だけどやってみないか?」と誘われて組合に入りました。

 

伏黒さんの話を聴いて、大学時代に社会人との関わりがあったことが、その後に大きく影響を与えていることを感じました。若い時の人とのつながりの大切さを物語っています。

 

組合での仕事は?

行政との橋渡しや共同で使用する荷捌き場などの使用管理など、漁師さんを含め、漁港の現場で働く人が仕事に専念できるような環境づくりが仕事です。合羽1枚の発注からスマホの使い方など現場からの相談にも応じています。

 

漁業組合にはこんな仕事もしています

組合には“水難救済会”という組織があります。漁船の事故やレジャーでの事故などの時に江ノ島の海上保安庁がかけつけるには時間がかかりますので、その間の初期救助に出動します。

海の消防団みたいなものです。

事故発生時には、海に出ている漁船と連携したり、相模川河口の管理者とも連携して、河口から海の安全対策をしています。

 

平塚の漁業組合はどんな雰囲気ですか?

組合には漁師さんと、釣船屋さんも入っていますが、とても良い関係だと感じています。役員の方も比較的若く伝統も尊重しつつ新しいものも取り入れていこうという姿勢があるなと感じています。

平塚漁港の歴史は“須賀の港”でここは漁業もありながら、相模川を利用して木材、石材などの物資を江戸に運ぶ“廻船”の中継所で繁栄した場所です。現在は、定置網、シラス漁が主ですが、昔はカツオの1本釣りの拠点の歴史もあります。私の主観ですが、繁栄の歴史の中で他の地域の方が沢山出入りしていたと思います。だから地元にこだわらず他の人も受け入れる土壌があるのだと思います。

 

平塚で獲れた魚はどこに行くの?

地産地消と言われますが、現在約7割は横浜や小田原へ持って行っています。魚屋さんが少なくなっているので、平塚では競りが盛り上がりにくいです。小田原経由で平塚のスーパーに並んでいるものもあるかもしれませんね。残りの3割が、地元平塚市内で消費されています。港から直接「買いたい」というお店の方から問い合わせもありますので、お店と漁師さんをつなげる役目も組合の仕事です。

 

平塚のシイラで商業高校生とつながる

平塚特産のシイラをもっと知ってもらおうとプロジェクトが進められています。

平塚のシイラプロジェクトとは? 詳細はこちら

平塚産のシイラをもっと知ってもらい、食べてもらうために平塚市漁業協同組合が鳥仲商店、湘南いぶし、進和学園と連携して取り組みを行いながら市民に愛してもらう経済活動を展開するプロジェクトです。

昨年の平塚商業高校の課題研究でシイラを使った商品開発がテーマのグループがあり、漁業組合にも相談があったそうです。

 

プロジェクトを進めている時に、鳥仲商店さんから「商業高校生がシイラを使って何かやりたいと言ってきているんだけど、どうしよう?」という相談がありました。

 

この相談は、女子のグループです。私たちも取材させていただきました。

「平塚特産のシイラをもっと知って貰いたい 商品開発物語」を参照。

ちょうど良いタイミングだったので、「仲間に入れようよ」ということで相談にのりました。

そうしたら、商業高校ではもう一つの男子のグループもシイラを使った商品を研究していて、そちらも応援することになりました。

 

商業高校生と接してみての感じは?

女子のグループは鳥仲商店さんが対応したので、漁業組合には男子が来ました。「シイラをわけてほしい」ということでしたが、最初は学校や先生から問い合わせがくるのかなと思っていたら、生徒が直接きたので驚きましたね。シイラの時期は過ぎていましたが、プロジェクト用に保存していたものを提供しました。とても、ハキハキとして、積極的な姿勢でした。

 

商業高校では、来年度の課題研究でシイラをテーマにしたものが引継ぎされているそうで、ぼちぼち協力要請の話がきているらしいですよ。楽しみです。

 

平塚の街の好きなところともっとこうなってほしいこと

南口から真っすぐに海岸に続く道が広くて、また、電柱がなく空が広く感じるところがいいですね。

みなさん、驚きますよ。それに、やはり海岸は好きですね。1年を通じて楽しめる海岸はそうはないですよ。沢山の人に来てほしいですね。

市街からの観光客も来てほしいですが、地元の人たちにもっと海岸のことを知ってもらって、来てほしいですね。知らない市民のかたが沢山いるように思いますね。

平塚ビーチパークでのイベントの様子

 

今後やりたいこと

毎日、水揚げされる魚の中には売り物にならないものもあります。エサ用にしても2足3文です。

でも、新鮮ですし食べられます。そこで、それらの魚をSNSで「今日はこれだけ規格外の魚があります。購入したい方は漁港まで買いに来てください」と発信して、売りさばきたいと思っています。

付加価値がついて、漁師さんにもお金が入るし、お客さんも安く買えるしと、WinWinでどちらも喜べると思います。やってみたいですね。

 

ライターの独り言

伏黒さんのお話しを聴いて、感じたことは

  1. 学生の時に、社会人と関わることがとても重要で、それがその後の生き方の選択に大きく影響をおよぼしていることを感じました。ひらつか市民活動センターでは、夏休みに「ユースボランティア」を募集していますが、是非、沢山の学生の方に参加してほしいですね。
  2. 「平塚の海岸を地元の人に知ってもらい、来てほしい」という言葉が胸にささりました。

海岸に限らず、まずは市民が行ってみないといけないなと思いましたね。

楽しいお話をありがとうございました。

ライター:清水 浩三