1はじめに

雨が降る季節にあじさいを通して地域の人々との交流、河川環境の美化の取り組みを知ってもらうことを目的に「河内川あじさいまつり」が旭北公民館とその河内川周辺で今年は6月9日に開催された。来場者は祭りのイベントであるあじさいの挿し木教室や模擬店に参加したり、パネル展示を見学したり、クイズラリーに取り組んだりして、楽しんだ様子だった。

 

2. あじさい祭りのきっかけ

昭和29年に旭村と平塚市の合併により、河内川を含めたのどかな田園風景を構成していました。しかし、高度経済成長期を迎え急速な市街地の開発により、河内川は農業用水路に生活雑排水が流されることにより汚染された川に変わった。また、ある時は自転車が数台投げ込まれるなど誰も近づきたくない川となっていた。

そのことにより、旭北地区の美化推進委員長の高橋氏を中心に子どもたちが川の中で遊べるような環境にしたいとの思いからゴミ問題解決に向けた取り組みが行われ、河内川をきれいにする運動が始まった。ところが、最初は清掃活動の取り組みが行われるも、なかなかゴミが無くなることに繋がらなかった。

そこで、清掃活動と合わせて花の植樹を行う案により、ごみを捨てられない川にしようということで、あじさいに決まった。そして、県の土木事務所にあじさいを植えることを申請し、約2年を要し、平成4年に蔵之前橋のあたりに最初の植樹が始まりました。

 

今回、河内川あじさいの会 会長 石井豊氏と副会長 木村美江子氏にインタビューを行いました。

3. あじさい祭りの活動内容と苦労体験

あじさい祭りは平成17年から毎年、平塚市旭地区を流れる河内川の両岸約1.4㎞に、約2000株のあじさいが土手沿いに植えられ、人々を楽しませてくれる。

そして、15回目の祭り当日は、小雨の降る中、私は朝10時に会場である旭北公民館に到着し湘南NPOサポートセンターのブースに向かった。一息つき、会場を見渡すと、公民館の会場をぎっしりと埋め尽くすほどの模擬店が立ち並び、その中で、祭りの開催を今かと待ち望んでいる大人の表情と祭りを楽しみに子どもたちが元気にはしゃいでいる姿を見ることができた。

湘南NPOサポートセンターのブースでらくがきせんべいに挑戦する子どもたち。

しばらくして、開催セレモニーが公民館の玄関口で始まり、関係者の挨拶が行われ、いよいよ祭りが始まったなって感じがしました。私は開催セレモニーのある方の挨拶の中で、「あじさいの花言葉に団結や和気あいあいという意味があります。皆さんも共に団結し楽しく祭りを盛り上げていきましょう。」という言葉を聞き今回のインタビューを通して、まさにその言葉があじさい祭りを象徴しており、とても印象的に感じることができた。

落合市長をはじめ、関係者の挨拶で開幕した。

今回、石井さんや木村さんにインタビューを行い、最初はあじさいを植える美化活動に対して活動の成果はすぐに芽吹かず、また、植栽について地域の理解を広めるのにも時間が必要であったとの苦労体験を聞くことができた。活動資金の調達もできない状態でも、尽力し合いあじさいを植栽していった結果、市からあじさいを毎年、300本ずつ提供してもらうようになった。また、足りない分は個人の挿し木を提供してもらい、実行員や地域の方、みんなの団結力をもとに、あじさいの植樹の範囲がひろがり、きれいな水が川に流れ、生き物が川に住み着くようになった。それにより、参加人数も4~5千人となって、祭りの規模も大きくなり今では、地域内の大きなイベントとなりました。

さらに、河内川あじさいの会と地域の小学校により、祭りだけでなく、川に入り、和気あいあいと自然のことを学ぶことのできる生き物調べの活動の場ともなりました。

生き物調べの様子。

4. これからの課題

あじさいの管理する世代が高齢化であるため、若い人にもっと入ってほしいとの石井会長からの声があった。毎年、来年の植樹に向けて、県の力を借り、毎年2回、花の手入れや草刈りを行ってもらっているが、それでも若い力によりこの活動を支える必要があるとの率直な声があった。地域の人、自治会にももっと協力してもらいあじさい祭りの発展により地域の活性化につながるのではないかと今回の取材を通し感じることができた。

参考文献:よみがえった河 花のまち あじさいの河内川/湘南NPOサポートセンター

ライター:冨田 貢司

※この記事は当法人が開催した「WEBライター養成講座」(全3回/5月29日・6月12日・6月19日)の受講生が、受講中に取材して記事にしたものです。

★こちらの記事も併せてお読みください。

未来に繋げたい「あじさいまつり」

河内川のあじさいまつりに『ふれあいの場』 を見つけた

Share