シイラって

Qize:魚偏に暑いと書いてなんと読むでしょう?

Answer:: シイラと読みます。

シイラの写真がこちら。

名前の通り、温かい海で育つ。体長は大きくなると2mくらいになるといいます。筋肉質で脂身が少なく鮮度保持がむずかしい。俗に、「足が早い」といって傷みやすい性質があります。

このシイラは平塚の特産品で、シイラを使った商品開発を県立平塚商業高等学校(以下平塚商業)の3年生の2人が課題研究で取り組みました。今回はその2人を取材させていただきました。

向かって左が武内 碧さん、右が望月 遥さん。

 

シイラを初めて食べた感想

武内さん

「今まで食べた魚と違う味だと思いました。」

望月さん

「私は魚があまり好きではなく食べる機会が少ないのですがシイラを食べたときは生臭さが強いと感じました。美味しいとは思いませんでした。」

あまり印象が良くないシイラを「平塚と平塚商業の魅力の発信」というテーマで課題研究に取り上げた背景をお聴きします。

 

平塚商業の課題研究とは

『本校では専門科目:課題研究について、2年次に1単位、3年次に2単位の複数年次で展開していきます。
また、生徒一人一人が商業に関する課題を自ら設定し、調査、探求、実習、発表までのプロセスで、時間をかけて学びます。
年度末には課題研究発表会を実施し、お互いの研究内容から学び、学校の資源として後輩達に継承する取組みを行っています(平成24年度より実施)。商業高校での学びの集大成として、商品開発、財務分析、地域への提案等をそれぞれが工夫を凝らし、効果的にプレゼンテーションするこの取り組みは、社会人として求められる表現力を育成する取り組みとして展開され、専門科目の学びを幅広く探求する場として定着しています。
具体的には、商品開発を通じた課題研究一連の流れのグループワーク、外部講師からの講演やアドバイス、そして個別研究へとつなげていきます。  平塚商業のホームページより』

取材風景:左が課題研究の指導をしている高橋先生

 

商品開発に向けた経緯

望月さん

「平塚というと“七夕まつり”というイメージが強すぎて、他の印象が薄くなっているように感じました。そこでもっと他のもので印象付けたいと思いました。」

何故、“シイラ”を選んだのか?

武内さん

「授業で平塚の特産品を調べていたら、“シイラ”という魚が特産品だと知りました。小松菜とかトマトなどは、既にみんな知っていますが、私はシイラを知りませんでした。私が知らないということは平塚でも知らない人が沢山いるのではないかと思って、広めてみたいと思いました。」

“シイラ”を使った食べ物探し

武内さん

「シイラを使って加工している食品は何かと調べていたら、鳥仲商店さんがお惣菜にシイラを使っていることを知って、2人でお店に行ってシイラのミンチが入っているコロッケを食べてみました。とてもおいしくて、シイラを使って商品開発してみようと思いました。」

鳥仲商店

ドキドキの鳥仲商店に商品開発協力の依頼

学校に戻って、高橋先生に報告したところ

「できるところまでは、自分たちで交渉してみなさい」といわれたそうで、鳥仲商店さんへ電話交渉が始まりました。

武内さん

「もう緊張してしまって言葉はカミカミでした。下手な敬語を使うのも変だし、タメ口ではおかしい。こちらの一方的な日程を押し付けても、大きなお店なので失礼だといろいろ考えると大変でした。でも興味を示してくれて、『話が聴きたいから、いつかお店にこれる?』といってくれて快く受けてくれました。」

 

2人が描いた商品イメージ

武内さん

「買ってすぐ、持ち歩きながらでも食べられるようなカジュアルなものを考えました。イラストを描いて鳥仲商店さんに持っていきました。最初に考えたのがチーズドッグです。」

チーズドックの写真*イメージ写真でイラストとは異なります。

武内さん

「中にソーセージが入るのですが、鳥仲商店さんのアドバイスをもとに家で調理をしました。家族や、クラスの生徒に試食してもらいましたが、評価は散々でした。」

 

「シイラのカレー春巻き」の誕生

望月さん

「何度も試作を繰り返して、形は手に持って食べられる細長いもので「春巻」になったのですが、味がなかなか決まらなくて。シイラの生臭みが消えないのでいろいろな調味料などで試行錯誤してカレー味になりました。でもカレーの量が多いと他の食材の良さが損なわれるし、少ないと生臭みが残ってしまう。うまく出来たと思って鳥仲商店さんに持っていくと「コクが足りない」といわれて大変でした。」

武内さん

「やっと味が決まって鳥仲商店さんの合格をもらっても、同じ味を再現するのにまた苦労しました。さらに、試作品の数本ではなく、何十本と量が多くなると尚更同じ味をだすのが大変でした。」

2018年4月から、約5か月かかり開発した「シイラのカレー春巻き」を販売することになりました。

 

平塚漁港での販売

平塚タマ三郎漁港で販売する、望月さんと武内さん

 

シイラのカレー春巻き

11月16日、17日の2日間行われた販売では、20本/日が完売しました。

 

商品開発中でうれしかったこと、つらかったこと

武内さん

「最初、シイラを使って何をしようかアイデアが浮かんでこなくて苦労しました。」

望月さん

「シイラというものを知らずに考えていたのでアイデアが出ませんでした。」

武内さん

「味がなかなか決まらず時間がかかってしまいました。何度も試作しては鳥仲商店さんに持っていくのですが合格をもらえなかったことが悔しくて、でも最後に味が決まった時は嬉しかったです。」

望月さん

「最初のころに父親に試食してもらったのですが、「美味しくない」「生臭い」とバッサリ辛口評価をもらったのが悔しくて、でも最後に「美味しい」と言ってもらえたのが嬉しかったです。」

 

今回の課題研究で得たものは

武内さん

「漁港で販売してお客様が買ってくれたことで、それまでの努力が報われた気がしました。また、2人で作ったシイラのポスターを観て、シイラに興味を持ってくれた方もいて、私たちの目的の「平塚特産のシイラ」を広く知って貰うために情報発信することができて、貴重な2日間でした。

望月さん

「途中でつらい時もありましたがチャレンジした結果、「シイラのカレ―春巻き」が産まれたので、チャレンジすることの大切さを学びました。」

手作りのシイラのポスター

 

・モノを知らないとなかなかアイデアが浮かばない。

・試作して、でもうまくいかず、また試作してと、モノを創り出すには大変な労力が必要。

・試作でうまくいっても、量産するとまた違う。

・いろいろな人が関わって初めて新しいモノが産まれる。

・お客さんに買ってもらえると、苦労が報われる。

「シイラのカレー春巻き」の商品開発を通じて、まさに2人は“商業”を身体で感じたように思いました。

 

平塚商業の課題研究発表会は、下記の日に開催されます。2人も発表します。

課題研究発表会

[日時]2019年1月16日(水)午後

[会場]平塚中央公民館大ホール

 

平塚の好きなところ

武内さん

「総合公園が好きです。近くに住んでいるので近いし、子どもの時に自転車の練習をしたのも総合公園でした。家族で動物園で遊んだことも覚えています。学校へは自転車で通っていますが総合公園をとおっています。」

望月さん

「ビーチパークです。バスケットをしているのでビーチパークのバスケットコートにはよく行きます。」

 

平塚の街がこうなってほしいと思うこと

武内さん

「私の好きな総合公園も、「幼児と、高齢者の場」のようなイメージが強くて、わたしたちのような高校生が集まれる雰囲気がありません。図書館も落ち着いて勉強できるのに同じ世代の人はいない。きっと、良さを知らないからだと思うので知ってもらうようなことをしてほしいと思います。」

 

高校生活の思い出と将来の夢

武内さん

「2年生から、テニス部の主将になり部員が少ない中、みんなで練習を工夫しました。部員も増えて、試合でも点数が取れるようになったことが経験になりました。来年4月からは社会人になるので、挨拶がきちんとできて、後輩の面倒をみられるような人になれるように頑張りたいです。」

望月さん

「バスケット部で1年生の時に、足の靭帯を切断して入院、リハビリで1年間過ごしました。やめようかとも思ったのですが、悔しくて。リハビリを続けて復帰できた時はうれしかったですね。その時に仲間や先生、病院の看護師さんたちがいたからだと感謝しています。その時の経験から、将来は看護師になりたいと思っています。」

 

ありがとうございました。研究発表会がたのしみです。

ライター:清水浩三