2020年度から始まった神奈川県の農福連携マッチング等支援事業も2年目となり、農福連携コーディネーターの育成を図る活動の一環として農福連携コーディネーター養成講座を開催しました。

今回は一般から公募で参加申込みのあったコーディネーター候補生を対象に農福連携事業の概要と事例の紹介を行いました。

このセミナーでは福祉施設関係者及び農家・農業関係者への事業の啓蒙を推進することを目的として3日間にわたるセミナーを予定していますが、今年度は基礎的な内容に加えてより実践的な内容も網羅するために、2回目と3回目を「実践編」として、農福連携の現場で活躍されている方を講師に招いて基調講演をお願いいたしました。

【事業の目的】

昨今、地域の農業においても少子高齢化等による人手不足や後継者問題が顕在化しています。
一方で福祉分野では障害者の自立や働く場の確保が喫緊の課題になっています。そこで平成28年度に神奈川県が策定した「ともに生きる社会かながわ憲章」によって提唱される障がい者の就労機会の確保や工賃の向上による自立支援を目的として、農業と福祉を結びつけることで農業と福祉の両方の課題を解決するための事業です。

その一環として、
1.農福連携コーディネーターの人材育成
2.先進事例を視察するスタディツアー
3.農業者と福祉サービス事業者等とのマッチングの場づくり
の3点に焦点を当てて神奈川県、平塚市、JA湘南、中間支援組織、がタッグを組むことによって実現していこうという取組みの中で今回は、1のコーディネータの人材育成を目的とした研修の1回目を実施しました。

【コーディネーター育成研修の位置づけ】

市内の農業者と障がい福祉関係者をマッチングして結びつけるためには、農業と障がい者福祉の両方の知識と事情に通じた専門家の存在なくしては語れません。しかしこれまで、農業と障がい者福祉のつながりは決して強いものではなく、どちらかといえば双方が独立独歩で歩んできた部分が多いともいえます。

そのような現状を鑑みて、農業と障がい者福祉が手を取り合ってお互いにとってメリットのある関係を築き、地域社会の活性化を実現するためにそれぞれの間の橋渡し役となる人材の育成が大切との観点から今回の育成研修の実施に至りました。

第1日目(基礎編)
令和3年6月26日(土)13:30〜15:30

第2日目(実践編1)(予定)
令和2年7月10日(土)13:30〜16:00

第3日目(実践編2)(予定)
令和2年8月7日(土)13:30〜16:00

会場:3日間ともにひらつか市民活動センター会議室

【研修内容】

冒頭で神奈川県共生社会推進本部室主幹の相場様から、神奈川県の障がい福祉対策の
一環としての農福連携マッチング等支援事業の目的とゴールについての説明のあと、島根県農業技術センター技術普及部野菜技術普及課長の宮廻(みやざこ)克己様から島根県における農福連携事業についての概要と具体的な取組み事例などのお話をいただきました。

お話の中で、島根県の名産ブドウ種である「シャインマスカット」の生産で、障がい者が施設外就労で関わってきたものが島根県の品評会で2年連続最高賞を受賞し、農福連携による品質の高さを実証した例を挙げられていました。

目下の課題として、農家の希望に対して福祉施設側のキャパシティ不足があり、今後も息の長い活動が必要になるとのことでした。また今回の基調講演では、新型コロナ感染防止対策のために会場での感染対策はもとより、宮廻様には島根県からリモートでお話をしていただく形で実施しました。

 

【今後の展開】

今回の基礎編によって得られた知識をもとに、次回は神奈川県の横須賀・三浦地区を中心に農福連携の普及に努められている一般社団法人ノーマポート代表理事の高草様をお招きして、施設外就労以外の就労体系も含めた実践的な取組みをご紹介いただく予定です。

次回の養成講座では、講演終了後に参加者同士のマッチングや交流の機会を設けるためにワークショップ形式を取り入れて自己紹介や意見交換も行っていただけるようにしたいと考えています。

また一連の養成講座に続く取組みの第2弾として、スタディーツアーで農福連携の現場を実際に目で見て実感していただくための準備を進めています。昨年度のスタディツアーでは三浦半島・横須賀市にある2軒の農家さんと藤沢市の花き農家さんを訪問させていただきましたが、今年度は地元平塚市内で農福連携に取り組んでおられる農家さんや福祉施設への訪問を予定しています。

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