第6回 ひらつか地域づくり市民大学 公開講座

第6回となる「ひらつか地域づくり市民大学」は、今回も平塚市(協働推進課・中央公民館・福祉総務課)との協働事業として7月21日に開講しました。

連日続く猛暑にもかかわらず、ひらつか市民活動センターに60名を超える受講生が参加する盛況ぶりでした。湘南NPOサポートセンターのスタッフと行政職員、東海大学梶田ゼミの学生に加え、今年は初めての試みでインターンの学生を迎えて運営にあたりました。

 

平塚市落合市長から開会の挨拶をいただき、いよいよスタートです。湘南NPOサポートセンターは、地域でまちづくりを進めていくパートナーとして紹介していただきました。

 

第1部講演は、被災地に学ぶ「自治の取り組み」と「地域コーディネーターの役割」と題して釜石リージョナルコーディネーター協議会 統括マネジメントの二宮 雄岳さんからお話しを伺いました。

二宮さんは平塚市にご自宅がありますが、長年お勤めされていた金融機関を退職されて、仮設住宅に住みながら東北復興支援のために日々奔走されています。

 

釜石市の状況の説明に始まり、リージョナルコーディネーター発足の背景からその必要性と役割を、釜援隊での活動を通して分かりやすい図解とともにお話しいただきました。「コーディネーターは全てを見渡すこと」の言葉が心に残りました。それには4つの視点、虫の眼(集中して局所を見る)、魚の眼(周囲を合わせて見る)、鳥の眼(俯瞰して全体を見る)、人の眼(知恵を加えて調整して見る)が重要なカギとなります。

次に、地域コーディネーターとして意識しなければならない点は、どんなことなのか。4つの段階が挙げられました。

・直面する問題は何か

・問題を解決すると地域がどう変わるのか

・問題はなぜ解決されなかったのか

・問題を解決するためには何が必要か

そして、必要なピースを持ってきてつなげることがコーディネーターの役割です。

「被災地だからできたんでしょう?」とか「予算いっぱいあるんでしょう?」と言われてしまうそうです。しかし、被災地が向き合っている復興課題とは、震災被害+既存の社会課題だと思っていますと語る二宮さん。「つまりみなさんと私たちは同じなのです。」

 

第2部は「全員参加で住みやすい地域づくり」と題した座談会です。二宮さんに加え、ゲストに小宮保さん(横内地区社会福祉協議会 前会長)と小澤八重子さん(旭北公民館 前館長)、モデレーターには鈴木奏到さん(一般財団法人 計量計画研究所 理事)の4人で進行しました。

左が小澤八重子さん、右が小宮保さん

 

まずは小宮さんから「横内地区の団体組織の活動と連携の概要」と題して、公民館を中心に自治会とそれに付随する各団体、社会福祉協議会などの福祉関係の団体、子ども関係の各団体がどのように連携しているかを説明していただきました。小宮さんは40代の時にPTA役員を引き受けたのをきっかけに、現在まで途切れなく何らかの役員を歴任し、現在も地域のために活躍なさっています。

次に小澤さんから「旭北地区の地域づくりの構図と活動の概要」と題して、自治会連合会、公民館、民生委員・児童委員協議会、社会福祉協議会、その他各団体と、福祉村との構図を説明していただきました。旭北地区の福祉村は、西部福祉会館がオープンしたのをきっかけに、まずは「作ろう会」を発足しわずか半年で立ち上がったそうです。コーディネーターはたくさんいる方が地域が豊かになるのでは、との言葉が印象的でした。

 

二宮さん(左)と鈴木さん(右)からゲストお二人の活動内容を掘り下げる質問がいくつか投げかけられました。

 

お二人のお話しの後は、苦労した点や工夫した点についてをモデレーターの鈴木さんが質問し、二宮さんからのお話しも交えながら進行しました。お二人とも苦労したのは既存の団体への呼びかけや話し合いだったと話されました。工夫した点としては、全員参加を目指し、裾野を広げるためにどんな「仕掛け」が必要かなどについての事例を紹介いただきました。

例えば横内では「カルタ大会」をきっかけに、子どもたちがカルタに登場する地域内の知らない場所を巡ることで「住んでいて良かった」と気がついてくれた、と小宮さん。そして、民間と行政を繫ぐコーディネーターが重要、人と人、団体と団体がつながることが重要ともお話しいただきました。

また、小澤さんからは、高齢者と若い世代では考え方が違うが、まずはボランティアを楽しんでやることできっかけを掴むこと、そのためには常にアンテナを張って「この人は」と思う方にお声掛けをすることがポイントとアドバイスいただきました。

 

会場からは、以下のような感想をいただきました。(抜粋)

○市民大学への参加は初めてでしたが、とても勉強になりました。岩手に住んでいたこともあり、釜石のお話は興味深かったです。本日の資料やメモは持ち帰り、改めて振り返ろうと思います。素敵な公開講座に参加させて頂き、ありがとうございました。(20代)

○地域独自の活動を知り、今後も地域内で活かしていきたいと思いました。福祉への取り組みが今後、大切になっていくのだと感じた。今の自分にとって何ができるのか考えるきっかけとなり、出来ることから少しずつやっていこうと思います。(40代)

○被災地が向き合っている復興課題の中には既存の社会課題があるというお話がとても勉強になりました。(50代)

○立ち上げのご苦労がお聞き出来る機会をありがとうございました。キーポイントを掴むということの大事、重要性を伺えて今後の参考になります。(60代)

○地域づくりに興味があり、今日参加させていただきました。公開講座において地域とのつながり方、つながる方法等を話されていました。今後「地域活動講座」の受講を受ける事により、何かしらのヒントが生まれればと思っています。(60代)

○コーディネーターとは、コーディネーターのカタチの話が良かった。「対等」という言葉の使い方が参考になった。(70代)

○コーディネートの役割として目的と結果が大事であることが勉強になりました。一つ一つの事例を上げての説明で参考になった。(70代)

 

次回は8月25日、連続5回の地域活動講座がスタートします。第1回目は「ファシリテーションのコツを学ぼう」。地域活動に活かせるように、話し合いや会議の進行役としてのファシリテーションについて学びます。

記:湘南NPOSC 2018年7月28日

Share