「ひらつか地域づくり市民大学 地域活動講座」の第2回目を、ひらつか市民活動センターで9月15日に開催しました。

前回に引き続き、講師は当法人理事の鈴木奏到(認定都市プランナー)の話しで始まり、続いて具体的な事例を豊田地区町内福祉村会長の長尾正春さんと女性防災クラブ平塚パワーズ会長の菅野由美子さんに紹介していただきました。

 

地域活動の連携・協働のポイントとは?

前半は平塚市の将来はどうなるのか、人口推移について解説がありました。全体的な人口は徐々に減少しますが、高齢人口は増えていき40年後には約40%が高齢者となる見通しです。

これを踏まえて、住み続けたい地域を作るためにはどうしていけばよいのか。原点となるのは前回の講座でも重要なキーワードだった「まちづくりはひとづくり」です。

地域には昔から暮らしている人と高度経済成長以降に新しく来た人がいます。また、世代も幅広く、さまざまな団体があり、行政・企業・学校と所属先も多岐にわたります。それでも「想い」が一緒なら縦にも横にもつながりを築くことで上手くやっていけるのではないか。その具体的な事例として横内地区のマイタウンスクールを例に取り、壁を乗り越えるにはどうするか、仲間づくりのポイントは何かを紐解いていきました。

円滑に物事を進めていくには、オンとオフの合わせ技を活用し、巻き込む力が重要と語る鈴木さん

 

自分たちの知恵と力で地域を運営していく仕組みをつくる

地域を運営していくには次の3点が重要です。

○話し合い、目標を合意する

○実現するためのアイデア、手段を出し合う

○地域一丸となって動く

それには前回の講座で学んだファシリテーションのコツが欠かせません。

話し合いがスムーズに進めば、「関連団体(組織)」間のつながり、「世代」を超えた役割のつながり、実行力ある組織の「役回り」のつながりを再構築していけます。そして、仲間づくりからのスタートのポイントは、ぶれない「目標」のもとに段階的に進めていくことです。また、これから先は学校や企業の役割がかなり変わっていくのではないか、とお話ししていただきました。

 

事例紹介1:豊田地区町内福祉村に見る地域づくり

豊田地区は自主自立的な気風が強いと語る長尾さん

 

後半の事例紹介の一つ目は、豊田地区町内福祉村会長の長尾さんがご登壇され、豊田地区の歴史と地域の特徴を皮切りに、福祉村がどのようにして作られていったかをお話しいただきました。

「昭和の大洪水で農作物が全滅した過去の経験から、現在でも水防の取組が重要と地域で取り組んでいる。昭和40年頃から急速に人口が増加し、今では新しく移り住んできた人の方が多いが、”よそもの”という言葉は絶対に使わない。」

地区社協と自治会が良い関係でつながっていた、同じ地域の中で垣根をつくるという考え方がなかった、自分たちの地域は自分たちで守る、などの背景があったため、以前から7地区の自治会で、サロンとして福祉活動を始めていました。しかし、高齢化や介護保険の問題、時代の流れもあり、今年3月に豊田地区町内福祉村をオープンするに至りました。

 

事例紹介2:女性防災クラブ平塚パワーズに見る地域づくりとの関わり

講習会の時にいつも着用するパワーズのユニホーム姿でお話しする菅野さん

 

事例紹介の二つ目は、女性防災クラブ平塚パワーズ会長の菅野さんにご登壇いただき、パワーズ発足の経緯から、東日本大震災をきっかけに活動内容に変化が現れ現在に至るまでの23年間の活動を紹介していただきました。

「行政からの資金が無くなったのをきっかけに独立。とは言え、現在でも連携してとても重要な関係にある。社会のニーズに合わせて柔軟な活動をしている。新しい事をやろうとした時に、お金も人もついてきてくれ、マスコミも注目してくれた。」

パワーズは行政以外にも、自治会、地域団体、幼稚園・保育園・小中学校から防災教育の問い合せが多数あり、幅広い連携をしています。また、活動20周年を期に今まで培ってきたノウハウを”パワーズブック”として冊子にまとめたことで、より活動の場が広がってきました。平成29年には神奈川県で実施したコミュニティカレッジで講師を務め、その後も県内外各地から講習会の要請が来るようになりました。

活動内容の紹介の後、現場で実際にどんなことをしているのかを、ビニールのゴミ袋を使って簡単にできる雨ガッパのつくり方のミニ講習会が実施されました。参加者の方数人に前へ出てきていただき、作り方の説明があり、最後は出来上がったカッパを来て記念撮影しました。

 

二つの事例に対する質疑応答

最後に登壇者お二人へ、参加者から質問が投げかけられました。ごく一部をご紹介します。

サロンと福祉村の関わりについての質問に対し、サロンでやり方が分からない事などがあれば福祉村がサポートしているとの回答や、サロンへの出張福祉村のお話しなどがありました。

パワーズへは冊子を作った際の資金調達についてや講習会の依頼方法などの質問があり、助成金の活用の回答がありました。

参加者のみなさんは、さまざまな団体間の連携や資金に関する事に関心が高かったようです。

 

参加者アンケートより(抜粋)

○自分が中学生だった時、このように地域を盛り上げようとしている人や団体があることをあまり知らなかったので、私はもっと直接学校を訪れる機会があったほうがいいと思う。直接、自分達の活動を伝える事は、若者に知ってもらうために重要だと感じた。(10代)

○自分の地域にパワーズさんに来て頂きたいなと思いました。学びたい事や興味惹かれる事が沢山あったので。ありがとうございました。(40代)

○パワーズさんの活動の経緯大変興味深かったです。これだけしっかりした実績があれば、行政とも対等な(?)関係で連携できるのかなと思いました。(50代)

○福祉村の方が多く参加していたということなのでそれぞれの福祉村の有様を話し合う機会があったらいいと思いました。パワーズさんのプロ性を感じ生活に密着した活動に敬意を表します。豊田福祉村の地域の作り方・・・コアの部分を空欄にし、主体の団体が入る素晴らしい考え方だと思いました。(70代)

 

第3回地域活動講座は

日時:2018年11月3日(土) 13:30~16:00

場所:土屋公民館

テーマ「土屋の地域づくりを聞いて学ぼう 〜まち歩き〜」

土屋地区は昔から地域のつながりが強く、各団体が協力し合ってまちづくりを進めています。資源(人・もの・コト)の活用やコーディネートについて詳しく伺います。

 

記:湘南NPOSC 氏家 2018年9月25日

 

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