ひらつか地域づくり市民大学実践コース第2回目を11月18日(土)13:30~開催しました。

タイトルは「地域を巻き込む新しいイベントプランをつくる」

今、自治会をはじめとする地域活動組織や団体は、役員の高齢化や担い手不足、若い世代が地域活動に関われない、など深刻な悩みを抱えています。地域に愛着を持って活動に参加してほしい、もっと若い人に関心を持って欲しい。そんな声があちこちから聞こえてきます。

 

昨年は、そのような現状を踏まえ「SWOT分析」の手法を学びました。

「SWOT」

Strength(強み)・Weakness(弱み)・・・内部環境(コントロール可能)

Opportunity(機会)・Threat(脅威)・・・外部環境(コントロール不可能)

具体的にいうと外部環境は簡単に変えられるものではなく、この部分で議論を交わしても堂々巡りになるだけで、結局、国や役所に訴えるしかないという状況に陥ってしまいます。市民が主体的にまちづくりに参加するということは、まず自分たちを取り巻く環境を正しく見つめ、自分たちでできるコトは何か、どこから手をつければ少し先の欲しい未来に近づけるか、という足元の議論が重要です。徹底的な分析の後で、自分たちができるコトをカタチにしていこうと事業計画を立てました。

 

2017年は、もう一歩進め、ではこれをどうやって具体的なプランニングに落とし込んで実現するか。ビジネスの世界で使われているという「MDCVS」について学びました。一緒に活動する人たちと価値観を共有しようという試みです。

「MDCVS」

Domain(領域・範囲)…対象となる人、場所・大きさ

Core Value(重視する価値観)…イベントを通して大切にしたい価値観

Vision(達成イメージ)…ゴールイメージ

Strategy(実現するための戦略)…実現に向けたロードマップ

Mission(目的・使命)…このイベントが目指すもの

 

イベントの名称を常に真ん中に置くことによって議論の核となる部分から脱線しないように、テーマを広げ、深めていくことが可能になります。イベントの名称はできるだけわかりやすく具体的な名称が良いでしょう。

  • 地域づくりと仲間づくり。アイディア出し。Winwinが原則。
  • 具体的なアイディアをカタチにしていこう。
  • 関係者に共感を持ってもらい応援してもらう。実践に向けて実行する仕組みを議論する。

リーダーを中心に前向きに意見を進めます。文字や絵にしてわかりやすくします。(見える化)

発表は、ゴールと筋道を伝えるようにプレゼンしましょう。

 

講師の三浦由理さん(ナレッジトラスト代表取締役)から以下のような説明がありました。

「まちづくりのプロセスは、関心のない人々を巻き込まないと「うねり」にはなりません。関心のない人をどうやって巻き込むか、巻き込まれるか、が重要なポイントです。

人々の生い立ち、社会や時代背景は千差万別。だから、まちづくりに正しい答えはないんです。どういう人たちとやるか。価値観を持っているかいないか。対立する人々をどう調整していくか、とか…。例えば、保育園をつくるという問題にもあるように、子どもが元気に育つ環境を整備することは重要でそれを欲する人たちがいます。一方では静かな環境で余生を楽しんでいる人たちもいる。どちらが正しくてどちらが間違っているということは言えないんです。既成概念にとらわれ過ぎて、一方的な意見を押しつけるのはやめましょう。まちづくりに奥の手があるわけではないんです。」

 

【グループワークの進め方】

  • みんなが納得できる設定にしよう。

多数決で決めるということが多々見受けられますが、それは後々問題になることが多いです。事例紹介も夢のような話ではなく、自分が見聞きした実感の中での例がわかりやすくて良いでしょう。

  • みんなが納得できるような創意工夫をしよう。

意見を出せない人もいます。そういう方は意見を出すタイミングがつかめないとか、言葉にするのが苦手とか、非難されるのがいや等の理由があります。そういう場合にはポストイットに意見を書いてもらう、言いやすい雰囲気をつくるなどの工夫をしましょう。

 

三浦さんから丁寧な説明を受け、早速議論に入りました。前回出た意見を、「MDCVS」に落とし込むまでには、相当時間がかかりました。年齢も背景も価値感も違う人たちとの意見交換は行きつ戻りつ、時々議論の矛先を修正しながら進めていきました。

1グループ:平塚の資源を活用してお客様を迎える仕組みをつくりたい

 

2グループ:自治会はなかったら困る、から派生して「食」をテーマに事業をつくりたい

 

3グループ:「めだかの学校」か「平塚フードワーク」のどちらかのタイトルで事業をつくりたい

 

4グループ:多世代がつながるには「食」がテーマになりそう

 

その後の発表は、しっかり議論された後とあってそれぞれのグループが具体的なテーマに絞り、次回最終回につなげていけそうな感じでした。

 

各グループの発表にコメントを添える三浦さん。的確なコメントが受講生のやる気を後押しします。

 

ひらつか地域づくり市民大学実践コース第1回目の講師でもある鈴木さん(認定都市プランナー)も、グループワークを見守ります。(左から2番目)

 

実践コースの目的は、このように多様な立場や年代、価値観の違う人同士が同じテーブルにつき、問題を共有し解決につなげるプランをどのようなプロセスで導き出すか、その過程を学んでいただき、実際に地域に戻った時にコーディネーターとして活躍してくださることにあります。4つのグループがどのような進化を遂げるか今からとても楽しみです。

記:2017年11月22日

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