「ひらつか地域づくり市民大学 地域活動講座」の第3回目を、11月3日に開催しました。

今回は場所を土屋地区に変えて、実際の現場を目で確かめながらの講座です。モデレーターとして当法人理事の鈴木奏到さん(認定都市プランナー)、事例の紹介を土屋公民館の秋山達郎主事にお願いし、続く対談には土屋公民館の安池直治館長にも加わっていただきました。

4月から半年間かけて約800株のざる菊を育てます。一番大変なのは夏場の雑草取り。

 

実際にざる菊会場を見てみよう

若干雨が心配なお天気の中、土屋公民館に集合した参加者一同に、まずは秋山主事からざる菊会場の「見どころ」の説明がありました。手前側の2列が土屋小学校の4年生が担当したざる菊で、毎年花で作った文字があること、会場の手作り看板は裏側に初代の看板も残してあることなど、見逃せないポイントをレクチャーしていただき、いざ出発。

公民館から3分ほど歩いた距離に、色とりどりのざる菊がきれいに咲き誇っている「土屋ざる菊園」があります。会場にはざる菊愛好会・菊づくり愛好会の会員の方が数人待機していて、訪れた人々からの質問に答えたり、説明したりしていました。講座の参加者も三々五々散らばって、説明を聞き、写真を撮影し実際の規模や様子を体感しました。

愛好会会員会員から説明を受ける参加者。会員には農家の方が多いため、マイ耕うん機を出動させるなど、道具には事欠きません。

 

一通り土屋ざる菊園を見学したあと、土屋公民館に戻り公民館の一角で同時開催している「菊花展」も見学しました。こちらには一般の方々が育てた菊に加えて、土屋小学校の5年生が育てた菊も展示されています。会場には椅子とテーブルが設置され、お茶とお菓子が振る舞われていました。

ざる菊は小学4年生が、三本仕立ての菊は小学5年生が、育てる体験をしながら自然の素晴らしさや生命の尊さを学びます。

 

土屋の地域づくりを聞いて学ぼう「菊を活かした土屋の地域づくり」

土屋公民館の名物事業「菊づくり」

2つの展示会場の見学を終え、いよいよ公民館主事の秋山さんによる講義の時間です。

土屋地域の菊づくりは、昭和54年に菊づくり愛好会が発足したのをきっかけに、昭和60年からは土屋公民館と菊づくり愛好会に加え、土屋小学校とも協力して土屋小児童に菊づくりを指導する事業を開始しました。児童・生徒地域参加事業「菊づくり」です。しかしながら平成26年度に「菊づくり」事業は存続の危機に陥りました。そこで、公民館事業だったものを総合学習の授業として組み込むことにし、現在は30年以上続く土屋公民館の名物事業となっています。

菊づくりを通した地域の方々との交流の思い出が、土屋小児童の郷土愛につながると話す公民館主事の秋山さん。受講生もスタッフもどんどん話に引き込まれていきます。

 

新たな事業「土屋にざる菊を咲かせよう」

平成26年度に座禅川橋の架替工事と交差点改良工事が終了し、その資材置き場として使用していた約1,000平方メートルの土地所有者から菊づくり愛好会に「ざる菊でも植えてくれないか」と公民館に相談されたのがきっかけで、平成27年度の実施に向けて協議を開始しました。

実施にあたり、愛好会だけではどうにもならない次のような課題が挙げられました。

1. 人手不足 当時の愛好会会員数は17名で、その殆どが高齢者

2. 資金不足 整備にかかる土・肥料・防虫剤などの費用が用意できない

3. 広報手段 整備後どのようにPRすればよいか不明

そこで、公民館がコーディネートをすることで課題解決に向かって動き出します。

「人が足りないなら増やせばいい」

「今あるものを活かしていろんな人を巻き込もう」

「できない理由を探すより、どうしたらできるか考えよう」

こうした意見が交わされ、土屋の新名所を作ることを目的として、菊づくり愛好会の中で賛同する人たちで新たに「土屋ざる菊愛好会」を立ち上げました。

まずは人手不足を解消しようと、公民館だより等で新規会員を募集を開始しました。土屋小学校にも協力を仰ぎ、愛好会・公民館・小学校の三者共催という形で役割を分担し、進めていくことになりました。

資金面では、公民館の地域をつなぐ連携事業とすることで、肥料代等は公民館で用意し、その他必要な費用は愛好会の年会費等で賄い、農機具等は会員が持ち寄って対応しました。平成28年度には、平塚市の助成金制度「市民活動ファンド」に申請し、活動が認められて助成してもらうことができました。現在はざる菊園開園中に菊の販売等を行い、その収益で費用を賄えるようになりました。

広報やPR活動としては、開花前に手作りの看板を設置し、公民館だよりやちいき情報局(ブログ)で菊づくりの過程を周知することで地域内へ積極的にPRしました。そして、地域外の多くの方に楽しんでもらえるように、見頃を迎える時期に公民館で「記者発表」を行いました。これが功を奏し、新聞各社や地域の情報紙などで「ざる菊園」が紹介され来園者が殺到するようになりました。今年度からは小学生が手作りでポスターを作り、市内の各公民館に掲示してもらうことも始めました。

計画の段階では「この人数で本当にできるのか」といった疑問の声があったものの、平成27年度からは事業を成功させようと夏の除草など大変な作業も会員が率先して取り組むようになりました。新たな会員も増え、来年度は小学校のPTAも事業に協力したいとの話もあり、地域全体で子どもたちの成長を支え地域を創生する「地域学校協働活動」の一つの形になっています。

今後はいかに多くの人を巻き込み、続けて行くかが課題です。自治連等他の団体への協力を呼びかけ、最終的には「土屋の新たな名所」として5年先、10年先へ続くよう土屋全体で盛り上げて行くような体制づくりを進めていきます。

 

土屋公民館のその他の特色ある取組み

ざる菊園の事業以外にも、土屋公民館は「集い」「学び」そして「結ぶ」をテーマにさまざまな取組みをしています。開館50周年記念事業、土屋中学校・神奈川大学・地域団体や利用サークル・七国荘・びわ青少年の家と連携した事業の紹介がありました。

新しいことを始める時に、ブレインストーミングを行うことで道が開けることを教えていただきました。ブレインストーミングで重要なのは、まずは他者の意見を批判しないこと。自由に発言し、質より量を引き出すこと。そして、アイデア同士を結合していくと、「大変そう」が「面白そう」に変わり、アイデアがじゃんじゃん出てくるようになる、と大変参考になる内容でした。

また、秋山主事が「コーディネーター」として重要と考えるポイント3点も大いに参考になるものでした。

1. 自分が誰よりも楽しめ

2. 大変だったけど、やって良かった・楽しかったと言われることをやれ

3. 主事(コーディネーター)がいれば大丈夫、チャレンジしようと思わせる安心感を

 

対談と意見交換

最後に土屋公民館の安池館長とモデレーターの鈴木さんを交えて、参加者から出た質問を中心に対談が行われました。その中からいくつか抜粋したものを紹介します。

・新しいことを始めるには不安はつきものだが、一つひとつ課題を解決し、周りを巻き込んで仲間を増やしていくと、不安よりも「事業を成功させたい」という想いの方が強くなる。

・「公民館」は地域の声に対し、どうしたら一緒にできるかを考えること。それには、色々な人と雑談することで仲間を増やし、繫いでいく。

・会議のあとの雑談でアイデアが出る。飲みニケーションも大切。

・反対意見は理由等も含め、全部しっかりと聞く。

・何人かで一歩ずつアイデア出しをしながら、さまざまな団体とのつながりを考えていくことが大切。

今回は土屋公民館の事例から、ヒト・モノ・カネ、そして広報について、とても参考になる話が盛りだくさんでした。秋山主事、安池館長、どうもありがとうございました。

 

参加者アンケートより(抜粋)

○働き手をつくる努力、方法。地元の人がいかに多く参加するかを追求していた。主事の話が具体的に前向きに取り組む姿勢、明るくリードする姿勢が良い。(70代)

○地域と公民館、学校とのコラボ。公民館のリードする役割。動けば地域は動く。(70代)

○公民館・愛好会・小学校の三者協同でやるということにとても魅力を感じました。世代・立場をこえて交流できるのは楽しいですね。(40代)

○土屋の地域の絆がとても強くてうらやましいです。小学校、公民館、地区の方々皆で土屋地

区を盛り上げていてとても良いと思いました。(60代)

○今回のように地域の実践活動を実際に見学できたのがよかった。実際の活動の様子をみることにより、生の活動が理解できる。(70代)

○地域づくりはまさに子どもたちの教育である事に感心しました。雑談の中から新しいことが生まれる…すばらしい。(70代)

 

記:湘南NPOSC 氏家 2018年11月19日