本年度4月から始まった農福連携事業では、新型コロナ感染拡大に伴う緊急事態宣言もあり実質的なスタートが9月にずれ込んでしまいましたが、9月に行われた座学のコーディネーター育成研修に引き続き「すでに農福連携を実践されている農家さんから学ぼう」をテーマに、実際の現場を見学させていただくことになりました。

【スタディツアー の目的】

育成講座で得た農福連携の概要知識が、実際の現場でどのように生かされ活用されているかを各自が目で見て感じ取り、コーディネーターとしてマッチングを行っていくにあたっての課題や問題点を解決していく手掛かりにすることです。

【スタディツアー当日の行程】

令和2年11月5日、JR平塚駅南口に14名(+スタッフ5名)の集合した参加者は感染予防対策のため乗車人数を減らしたマイクロバス2台に分乗して最初の視察先である三浦半島・横須賀市の津久井浜観光農園に向かいました。

当日の全体工程は次の通りです。

予定時刻 場所 予定 内容
8:00 JR平塚駅南口 集合・出発 受付、検温、体調確認
10:30 津久井浜観光農(横須賀市) 視察 イチゴ農園(ハウス)視察
代表の小林様からの説明と質疑応答
11:45 ブロ雅農園(横須賀市) 視察 露地の野菜畑を視察
代表の鈴木様から説明と質疑応答
12:40 すかなごっそ
(JAよこすか葉山農産物直売所)
休憩と買い物
15:00 永田農園(藤沢市) 視察 花き農園(ハウス)視察
代表の永田様から説明と質疑応答

16:30

JR平塚駅南口 解散

 

【津久井浜観光農園(横須賀市)】

当日は天候にも恵まれ、道中の鎌倉・逗子海岸の国道134号線からは遠く富士山や伊豆大島を望むことができました。そんな好天にもかかわらず道路は非常に空いていて最初の目的地の津久井浜観光農園様には予定より30分も早く到着しました。現地では代表の小林様と農作業を請け負っておられる特例子会社パーソルサンクスの岩﨑様に迎えていただきました。
駐車場から歩いて10分ほどの緩やかな丘陵地にはイチゴ栽培のハウスが立ち並んでいました。その中の一つで障がい者のメンバーさんとそれを束ねるスタッフさんが作業をされている様子を見学します。この時期には例年周囲の畑でみかん狩りや芋掘りも行われていますが今年はコロナの影響でお客様も非常に少ないとのことでした。メンバーさんは時期によってイチゴ苗のライナー切りやみかんの摘果などの作業を行っているそうです。

 

 

 

 

 

 

 

 

【ブロ雅農園(横須賀市)】

津久井浜観光農園を後にして次に向かったのが、車で30分ほどの横須賀市の相模湾側にあるブロ雅農園様です。変わった農園名ですが当初、主に栽培していたブロッコリーと代表の鈴木雅智様の学生時代のあだ名”雅(マサ)”を組み合わせて命名したそうです。ここではハウスではなく露地の畑で多品種少量生産で野菜を作っています。現在も農作業をされているのは代表のお父様と奥様の3名とのことでした。元平塚農業高校初声分校の教員をされていましたが、現在は教職をやめて数年前にお父様から農業を引き継いだそうです。当初はこの地区に点在する25ヶ所もの畑に手が回らずに困っていたところ、パーソルサンクスさんから農福連携の話を聞いて障がい者とのつながりを持つことができ、多くの農作業を委託することによって収穫も増え売上げも上がっているとのことでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ブロ雅農園から次の訪問先である藤沢市・永田農園に向かう途中で、ブロ雅農園から程近い場所にある、JAよこすか葉山の農産物直売所「すかなごっそ」に立ち寄って休憩と昼食をとりました。

先ほど視察したブロ雅農園から出荷された野菜が並んでいることもあるとのことでしたが、残念ながら今日は出荷されていませんでした。

 

【永田農園(藤沢市)】

横須賀から藤沢市郊外の打戻にある永田農園様までの道路も交通量が非常に少なく、余裕を持って到着することができました。永田農園は主にホームセンターなどに出荷する花きの苗を栽培されている農家です。広大な敷地には巨大なハウスがいくつも立ち並んでいます。

 

 

 

 

 

 

 

 

ここでは近隣の障がい者福祉施設と提携していて農作業にやってくる就労継続福祉B型のメンバーさんの他に、非常に農業に興味を持って頑張ってくれるメンバーの一人とは、直接の雇用契約をして働いてもらっているとのことでした。特に長年にわたって就労していると返って健常者よりも仕事に習熟して効率的に作業を習得して成果を上げているとのことでした。ただどこの農家さんでも大きな収益をあげられているわけではないので地元の藤沢市からの補助金に頼っている部分も大きいということでした。最後に代表の永田社長がお話しされていた、

「本当はやるべきことだと分かっていても農家だって霞を食べて生きているわけではない。夢や理想だけでは食っていけない。」

という言葉が重く心に響きました。

【農福連携事業の今後の活動】

スタディツアーを終えて今後はいよいよ実践的なマッチングをおこなっていく段階になります。そのためにセミナー参加者やスタディツアー参加者の中からコーディネーター候補生を募集して、次回の「マッチングの場」を実施していく予定です。もちろん農家さんや障がい者福祉施設の実態や現状が詳しく把握できていないので、今すぐマッチングができるわけではありません。そこで市内の農業者と障がい者福祉施設に関係する方々を一堂に会して、顔合わせや「求めるもの」と「提供できるもの」のすり合わせが行えればと考えています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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